福島県南相馬市から青木紀男教育長や鈴木好喜原町区役所長が22日、三条市役所を訪れて国定勇人市長を訪問した。三条市は南相馬市の市民500人近くを避難所に受け入れており、青木教育長は原発事故に伴う避難指示が解除にならないと戻れない状況や市民全員で避難の方針で取り組んでいることなどを説明し、「大勢でお世話になりますがよろしくお願いします」と市民の安全、安心を三条市に託した。
22、23の2日間、県内の避難所を順に訪問しており、22日は聖籠町、燕市の避難所を訪れたのに続いて三条市を訪問。青木教育長は国定市長に地震、津波、原発事故の被害状況などを話した。
経験したことのない大津波が海岸部から田園地帯、住宅地まで入り、軒並み南から北まで海岸線を津波にやられた。前日20日までに200の遺体が見つかり、行方不明もまだ多く、遺体を捜索を続けている。福島第一原発から20キロ圏内は避難指示、30キロ圏内は屋内退避となっており、これらが解除されない限り南相馬市には戻れず、「子どもたちのことも含め、お世話になります」と厳しい表情で国定市長に求めた。
国定市長は、「本当にお疲れさまでございます」とねぎらい、見舞い、そして悔やみ、三条市が受け入れる避難者を「全身全霊でお守りし続けたいと思っている」と伝えた。6年半前の7・13水害で三条市が大きな被害を受けたときは全国から後押しを受け、立ち直ることができ、その恩返しをするのは今しかないという思いを話した。
さらに、被災すると自分たちでなんとかしなければと思ってしまうが、困ったときはお互いさまと水害で学んだ。県と同様に幼保小中の受け入れや介護サービスの受け入れも検討しており、先に電話をもらった桜井勝延市長に「小さなお子さんからお年寄りまで、われわれとしてできる精一杯のことをやっていきたいと思っている」と伝えてほしいと求めた。
鈴木原町区役所長は、市民のほとんどが避難所に避難しているが、障害などをもつ弱者のある家族は、避難所生活は忍びないと自宅に残っており、移動できる人は25日に最後のバスによる避難を行うと説明した。
市内は屋内退去と避難指示のエリアにわかれ、避難に対する考えは市民にも温度差があるが、拘束力はなくても、「市民全員に訴えることは、市民全員の避難です。それが安全安心の第一歩。避難して身の安全を確保すると」と話し、市や新潟県の対応に礼を述べ、三条市内4カ所の避難所に向かった。
一行は翌24日には、見附、長岡、小千谷、上越、糸魚川、妙高などの避難所を回って南相馬市に戻る。