三条市に避難している福島県南相馬市の男性が、避難生活している人たちのようすを現地報告するブログを開設した。名付けて「負けてらんにぇ!みんなでなんとかすっぺ!!」。26日に本格的に更新を開始した。
ブログを開設したのは、三条市が初めて被災者を受け入れた3月16日、南相馬市から大型バス6台で三条市総合福祉センターに到着した同市小高区の佐竹紀(おさむ)さん(71)。中国の気功医師の資格を持ち、3カ月ごとに中国・上海で気功学の講義を行い、年2、3回、北京で外来医療を行っている。
これまでもブログ「気の広場」を開設し、3月11日の地震発生まで毎日、更新していた。自宅は津波を免れたが、原発事故で避難することに。ブログの更新はできないでいたが、家を出るときにパソコンを持ち出した。三条の避難所に着いて数日後にモバイルWiFiルーターを入手し、インターネットに接続できるようにした。
中国からも佐竹さんを心配するメールが届いた。離れた場所にいる人たちに自分が元気でいるとを知らせたいと思った。テレビや新聞は連日、被災地の悲しいニュースを伝える。自分たちの元気を情報発信、明るい話も伝えたいとも考え、避難所のようすを伝えるブログの開設を思い立った。
佐竹さん自身のことだけでなく、避難所の生活を知らせることで、避難している南相馬市の人たちなどの離れた家族や知人、友人などにもここでの生活が伝われば、明るい話題を届けて安心してもらえればと願う。
避難所には、家族や家を失った人がいる。佐竹さんの家は原発に近く、「家を放棄すること、捨てることになるのかなと思っている」と覚悟する。家がなくなったお年寄りは働くこともできず、何をして生きていけばいいのかと思いをしているのではと心配する。
佐竹さんは、南相馬市では市立石神中学校、次は市民文化会館「ゆめはっと」に避難し、三条が3カ所目の避難所。屋内退避の避難所では外に出られない不安があった。三条に来て「外に出られることと、深呼吸ができること」がうれしかった。「笑顔がでてほっとした」と喜ぶ。
これからが大変だが、そんななかでも「ひとつひとつ笑顔を増やしていって、勇気につながっていけば」。ブログは始めたばかりだが、「負けてらんにぇ!」と、明るい情報を届けたいと言う。
避難している人たちの健康を気遣い、毎朝、気功教室を開き、地域の人も参加してくれていることを喜ぶ。腰が痛み和らげる気の調整に必要な「キネシオテープ」を負担してもらっていることから、このテープの支援があるとありがたいと話している。