三条市内の24小学校すべては25日、そろって卒業式を行い、合わせて998人が小学校6年間の課程を修了し、学びやを巣立った。
国定勇人市長が出席した三条市立条南小学校(星野孝好校長・児童366人)では、午前9時20分から平成22年度第46回卒業証書授与式を行い、男子30、女子30の計60人が卒業した。
第一中学校に進学する児童たち。手の甲が隠れるくらい大きめな中学校の制服は女子はブレザー、男子は学生服。ぐっとおとなっぽくなった卒業生は在校生や保護者の拍手で迎えられ、全生徒が1鉢ずつ育てたピンク色のサクラソウの花300鉢余りで飾られた体育館に入場し、在校生と向かい合うかたちで席に着いた卒業生。卒業証書授与では、担任に名前を呼ばれ、体育館中央の演台の前に立ち、星野校長から1人ずつ卒業証書を受け取った。
星野校長は式辞で、「一歩を踏み出す勇気」を期待すると話した。テレビニュースで見た地震被災地の中学校卒業式で、亡くなったり行方不明の同級生のいるなか、卒業生代表が何度も歯を食いしばり、涙をこらえ声をつまらせながら行った力強いあいさつなどにふれ、哀しみにうちひしがれるのではなく、克服し乗り越えていこうとするたくましさ、勇気を感じた。
こうして普通に生活できているわたしたちですが、よいとわかっていても感じたときに一歩を踏み出せないことがあります。困っている友だち、悩んでいる友だち、元気がない友だちがいたら気づいて助けてあげてほしい。見て見ぬふりをしないでほしいとし、「どんなことが襲ってきてもまず一歩を踏み出す勇気を見せてほしい」と願った。
国定市長は用意した祝辞を読み上げてから、あらためて自分の言葉で話した。卒業生の親や家族、先生、地域の人から愛情をたっぷり受けて育ったことを忘れず、この節目の日に愛情をもらった人への心からの感謝を思うだけでなく、言葉にして伝える行動も求めた。
もう一つお願いとして、今度は東日本大震災で苦しんでいる人たちに卒業生が受けてきた愛情を「少しでもおすそ分けをしてください」。7年前の7・13水害で卒業生も苦しんだように今、多くの子どもたちが現実に苦しんでいて、それは決してよそ事ではなく、この瞬間にも三条市内の避難所だけで606人も被災者が生活し、そのなかには子どもたちもたくさんいる。
「一人ひとりがそういう気持ちをもって愛情たっぷりにおすそ分けすることができれば、必ずやこの日本は、みんなにとってもすばらしい国になると思っています。皆さんの行動のひとつひとつに、これから先がかかっていると思っています」と、うなずきながら聞く卒業生の顔を見ながらメッセージを贈った。
最後に「このよき日にあたって、みなさんの多大なる明るい前途をあらためてお祝いを申し上げ、お祝いの言葉といたします」と声に詰まりそうになりながら言い、未来を担う子どもたちの門出を祝った。
式の後半では、「別れの詩」として、卒業生と在校生が一緒に、またそれぞれで合唱を行い、子どもたちの優しく澄んだ歌声が体育館に響いた。