三条市の避難所で生活する約140人がサケの稚魚8万匹を五十嵐川に放流 (2011.3.28)

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五十嵐川に鮭を放流する実行委員会(半藤逸男実行委員長)は27日、五十嵐川の渡瀬橋上流右岸でサケ放流イベントを行い、三条市の避難所に避難している約140人にサケの稚魚8万匹を放流してもらった。

27日、五十嵐川の渡瀬橋上流右岸で行われたサケ放流イベント
27日、五十嵐川の渡瀬橋上流右岸で行われたサケ放流イベント

同実行委員会は、五十嵐川漁業協同組合、五十嵐川を復活させる会、三条リバティライオンズクラブの3団体で組織。7年前の7・13水害による五十嵐川の河川改修などにめどがつきはじめた3年前から同イベントを行っている。

今回は地震や原発事故の関係で不安をかかえながら避難している人たちの息抜きや気晴らしになればと企画、市内4つの避難所に参加を呼びかけたところ、子ども約40人を含む約140人が参加した。数十から百匹近いサケの稚魚が入ったバケツを手に、雪解け水が冷たい川にそっと放した。

避難生活を送る子どもたちも次々とサケの稚魚を放流
避難生活を送る子どもたちも次々とサケの稚魚を放流

サケは3年から5年後に、生まれた川に戻ってくるという。福島県南相馬市小高区から息子夫婦や孫など11人で避難している55歳の女性は、4歳の悠和君と8歳の和晃君の2人の孫とともに「(悠和君が)8歳になったら、戻ってきてね〜」と声をかけて川に放していた。

地震で地割れはあったが、家は残った。原発事故で家を離れ、避難先で「先がわからない」と不安な気持ちもあった。サケの放流は、福島で小学生が放流しているのをテレビで見たことはあったが、実際に放したのは初めて。「孫と一緒にできて楽しかった」と、笑顔だった。

稚魚を入ったバケツを手に川端へ
稚魚を入ったバケツを手に川端へ

何度もバケツを取りにいってはサケを川に放してと繰り返していた小学生の男の子たちは、息を切らしながら「もう30回目」と、目を輝かせていた。

また、イベントの冒頭では、南相馬市の方角を向いて全員で黙とうした。同実行委員会では、冬型の気圧配置で川風が寒いなか、大勢の参加があったことに感謝。五十嵐川漁協の山井正直組合長はあいさつで、「復興がなされ、また元気になりましたらいつでも三条に遊びに来てください」と話した。

イベント開始前に全員で黙とう
イベント開始前に全員で黙とう

国定勇人市長はあいさつで、「サケは生まれ育ったふるさとに必ず帰ってくる魚。いろいろな思いが今、駆けめぐっていられるとは思いますが、本日、放流されるサケと同じように、必ずみなさんは生まれ育った浜通りに必ず戻って行かれると確信をしています」。「これが必ずふるさとに戻れるという誓いになるとともに、新たなきずなの第一歩になりますように」と願った。


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