4月17日に燕市・大河津分水で行われる予定だった分水おいらん道中での売り上げを当て込んで地元「酒華の会」(三浦梨加会長)が開発に2年半を費やしたオリジナル純米酒「分水さくらの酒」を4月1日発売するが、東日本大震災で分水おいらん道中は中止。同様に燕市下諏訪、南山酒店が発売した「おいらん道中オリジナルビール」も当てが外れ、商品の売れ残りを心配している。
「酒華の会」は、燕市分水地区に名産をと同地区の有志で13年前に発足。日本酒「酒呑童子物語」や「おいらん道中」を発売してきた。2年半前に「分水さくらの酒」の開発に取りかかり、ようやく完成して28日、試飲会を開いた。
イメージは、婚礼の「桜湯」の酒バージョン。砂糖とレモン果汁に味付けした大河津分水で摘んだサクラの花1.5gを入れた小袋を純米酒とセットにした。このサクラの花をぐい呑みなどに入れ、純米酒を「ぬる燗(かん)」にして注ぐとサクラの花が満開に開き、サクラの香とともに純米酒のうま味を味わってもらおうという趣向だ。
サクラの花の採取や衛生面、保存期間などさまざまな問題をクリアするのに時間がかかった。ことしは、おいらん道中が第70回の節目のこともあり、その目玉のひとつにと取り組み、酒の名前は鈴木力市長が命名し、ラベルの題字は分水商工会の田中公一会長の書に。さらにサクラの花のパッケージには、洋画を手掛ける三浦会長がおいらんを描いた絵をあしらった。
アイデアを凝縮し、満を持して発売だったが、11日に発生した東日本大震災発生で、分水おいらん道中の中止が決まった。すぐに酒蔵に製造中止を求めたが、295本の瓶詰めが終わっていた。おいらん道中の見物客から土産に買ってもらう考えだった。おまけにサクラの花の賞味期限は1カ月、4月30日なので長期保存もできない。
「酒華の会」会員でもある南山酒店(南山正幸店主)は、オリジナルビールも発売した。昨年、初めておいらん道中記念の瓶ビールを発売したが、ことしは缶ビールに変え、第70回で誕生したマスコットキャラクター「おいらん道中PR隊」のイラストもデザインした。
こちらも事情は同じ。1,000セットを用意した。「おいらん道中が中止になるとは夢にも思わなかった」と南山店主。それでも、「分水さくらの酒」、「おいらん道中オリジナルビール」とも1点につき100円を義援金に充てることにした。
くよくよしていても始まらない。南山店主は今後の売れ行きに気をもみながらも「市も避難所の支援などに協力しているので、それにこたえてやらなければ」と話している。
「分水さくらの酒」は300ml入りで1,000円で南山酒店(電話:0256-97-2410)と燕市横田、山崎清六商店(電話:0256-98-5080)で販売、「おいらん道中オリジナルビール」は350ml缶3本セット1,100円で南山酒店で販売。