東日本大震災の影響で三条市に避難している子どもたちと保護者を招いて地震でできなかった地元の卒業式や終業式のかわりにと30日、同市で「卒業・進級おめでとう会」が開かれ、参加した子どもたちは、卒業証授与や吹奏楽演奏に「楽しかった」、「これからよろしくお願いします」と笑顔があふれた。
南相馬市立小高中学校では、野球部の投手だった3年生渡辺勇気君は、「楽しかったし、元気が出た」と喜んだ。いわき市内の高校に合格しており、福島へ戻る日は決まっていないが、合格した高校へ進学する考えだ。
今いちばんしたいのは「早く家に帰って、友だちに会いたい」。「目指すは甲子園」で、避難所ではボランティアの人とキャッチボールをした。
アトラクションでは、第三中学校ブラスバンド部が「ロマネスク」、「栄光の架け橋」、「ありがとう」の3曲を演奏し、出席者も手拍子で演奏を盛り上げた。さまざまな思いがあふれたのか子どもたちや保護者のなかにも涙をぬぐう人、あふれる涙にタオルで顔を押さえる人もいた。
家族5人で避難した南相馬市の星梢さん(28)は「いきものがかりが大好きだから、感動して、うれしかった」と、演奏中は目にハンカチを当てて泣きっぱなし。2人の子どもは4月から三条市内の小学校に入学する。3年生になるあいみちゃん(8つ)は「友だちをいっぱいつくりたい」、新1年生になる弟の悠斗君(6つ)は「いっぱいお友だちと遊びたい」。
また、会のなかで、兵庫県豊岡市の中貝宗治市長からのメッセージとともに、かばんの産地の同市から、三条市内に避難している小学生にランドセル、中学生などに手提げバッグが贈られることを紹介した。同市は平成16年に台風23号で大きな被害を受け、全国各地の大きな水害を体験した首長が参加する「水害サミット」に国定市長とともに参加している。
子どもたちに手渡した「祝 卒業証」などについて、市教育委員会は正式な「卒業証書」を出すことはできないので、祝いの気持ちと応援のメッセージを込めて文面を制作したという。それぞれの文面は次の通り。
「祝 卒業」(中学3年生)
卒業おめでとうございます。
あなたは、大好きなふるさとの中学校において、学習や運動に充実した中学校生活を過ごし、卒業を迎えられました。
心からお祝いを申し上げます。
今は、とても大変なときですが、一日もはやく、ふるさとに戻る日が来ることを祈っています。
三条市民一同、あなたのことを心から応援しています。
希望をもって、未来に向かって共に一歩ずつ歩んでいきましょう。
平成二十三年三月三十日
三条市長 國定 勇人
「祝 卒業」(小学6年生)
卒業おめでとうございます。
あなたは、大好きなふるさとの小学校において、学習や運動にいっしょうけんめい取り組み、卒業を迎えられました。
心からお祝いを申し上げます。
今は、とてもたいへんなときですが、三条市民一同、あなたのことを心から応援しています。
希望をもって、未来に向かって共に一歩ずつ歩んでいきましょう。
平成二十三年三月三十日
三条市長 國定 勇人
「祝 進級」
進級おめでとうございます。
考えられないような災害にあい、とても苦しく、つらいなかでも元気にがんばっているみなさん。
通いなれた学校、なかよしの友だち、そして大好きなふるさとを離れてがんばっている皆さんの姿に心がうたれます。
一日もはやく、それぞれのふるさとにもどる日がくることを祈っています。
それまで私たちは皆さんを心から応援します。
平成二十三年三月三十日
三条市長 國定勇人