三条市は30日午前10時半から嵐南公民館で「卒業・進級おめでとう会」を開き、福島県などから三条市に避難している小中学生約60人の卒業や進級を祝った。
今回の地震発生の影響によって三条市内に避難し、人生の節目となる卒業式を地元で迎えることができなかった子どもたちと保護者のひとつの区切りに、そして進級する子どもたちとその保護者も招いてともに祝い、進級の喜びも分かちあってもらおうと開いた。
卒業生の小学6年生2人と中学3年生5人の計7人を含む子ども約60人とその保護者約80人の避難している140人余りが参加し、卒業生を拍手で迎えた。
東日本大震災で犠牲になった人に黙とうをささげ、国定市長があいさつ。国定市長は6年前の水害ではこの会場も被災したことを話し、「わたしたちはそのときから全国の温かい気持ちをもらって、今日になんとかたどり着くことができました」と被災した人たちの胸のいたみに理解を示した。
「困ったときはおたがいさま」で、「皆さんは頑張る必要はありません、頑張るのはわたしたちです。皆さんは元気を出して、毎日毎日過ごしていくことが大切」、「今はわたしたちが皆さんを支える番ですから、どうか、しっかりと受けとめてもらいたい」と言い、「それを返すのは、みなさんが毎日の勉強とスポーツを頑張ること」と、新学期からの生活が少しでも普通の生活に近づけるよう祈り、子どもたちにエールを送った。
卒業生一人ひとりに国定市長から市長名の「祝 卒業証」を授与。文房具などのプレゼントも手渡し、進級する子どもたち全員にも「祝 進級証」とプレゼントを贈った。
三条市内の小中学生代表の言葉、第三中学校ブラスバンド部の演奏のアトラクション、そして最後に卒業生一人ひとりが「お礼の言葉」を述べた。
卒業生は「小高小学校では卒業できなかったけど、別な場所で卒業できてよかったです。ありがとうございあました」、「この温かい三条市で卒業、進級でき、うれしく思います。ありがとうございました」と喜んでいた。
卒業証を受ける卒業生は、見知らぬ土地での思いがけない卒業式に緊張したようすだった。第三中の演奏にたまっていた思いをこらえきれず、目頭を熱くし、タオルで涙をおさえるお母さん。「ブラボーでした」と演奏をほめ、感謝するお父さんもいた。
26日までの三条市の調査では、市内に避難している子どもたちは、小学生38人、中学生15人、高校生5人の計58人。30日現在、新学期から三条市内の学校に就学を希望し、準備を進めている児童、生徒も多い。