三条市内の小中学校で始業式が行われる前日の4日、三条市内4つの避難所で、かばんの産地の兵庫県豊岡市から避難所の子どもたちへ寄贈されたランドセルやかばんの贈呈式が行われ、真新しいランドセルに子どもたちは大喜びだった。
避難所のひとつ、三条市体育文化センターで午前9時から行われた贈呈式には、国定勇人市長も出席。同センターに避難している小中学生約20人が出席し、小学生全員に手提げバック、ふるさとからランドセルを持ってこられなかった小学生にはランドセルも贈り、中学生にはリュックを贈った。
国定市長が一人ひとりにランドセルなどを手渡すと、子どもたちや見守る保護者や避難所の人たちから自然と拍手が起こった。
福島県南相馬市の千葉遥菜ちゃん(6つ)は、赤いランドセルを箱も開けないまま自宅に置いてきた。箱を開けてピンク色のランドセルを目に飛び込むとにっこり。初めてランドセルを背負い、ちょっぴり恥ずかしそうに「お勉強を頑張る」と話していた。
中貝宗治豊岡市長からのメッセージを読み上げ、「今はとてもつらいと思いますが、少しずつ哀しみを削り取ってくれることと思います」、「明るい笑顔が戻ることを願っています。豊岡の人の思いをこめたカバンを贈ります」と紹介した。
国定市長は、水害が縁で豊岡市から贈られた経緯を話した。三条は「金物の町」で包丁や大工道具はあるが、子どもたちに必要なのはランドセルやかばん。仲良くしている豊岡市長に「困ったお願い、助けて」と相談してプレゼントしてもらった。
今回の地震で三条市は被害に遭っていないが、それでも豊岡市長に電話して頼みを聞いてもらった。困ったときはお互いさまで、三条市が困ったときは遠慮なく頼むので、子どもたちにも困ったときは「助けてって声をかけてください」と求めた。
三条で始める新しい学校生活では「ひとりでも多くの友だちをつくってください。立派なランドセルやカバンをもらったお返しはただひとつ。勉強とスポーツです」と話した。
豊岡鞄(かばん)協会(小田尚会長・97社)は、先に東日本大震災の被災者に使ってもらおうと、リュックサックなどを豊岡市に寄付している。