県は4月13日と27日にピークカット15%大作戦・トライアルを行うのを前に4、5の2日間、県内4会場でその地域別説明会を開き、その最後の会場となった県央地域では、5日午後1時から燕三条地場産業振興センターで開き、地元製造業者を中心に約80人が出席した。
東日本大震災で東北電力の発電所も大きな被害を受け、電力供給能力は3月31日現在で被災前の約3分の2の水準に落ち込んでいる。大規模停電を回避するため、東北電力は3月16日から計画停電を予定しながらこれまで一度も実施されていないが、夏の需要期に向かって計画停電を実施せざるを得ない状況が予想される。
県では計画停電を回避しようと、ピークカット15%大作戦をスタート。1日のうち電力需要がピークとなる午後2時から3時の時間帯の需要を減らし、文字通りピークを15%カットしようという取り組みで、ピーク時の電力消費量が供給量を下回ることが確実になれば、計画停電は不要になる。
そこであらかじめ県民あげて一定時間に大規模な節電に取り組み、ピーク時節電の効果を検証し、夏の電力需要のピークに向けた対策のあり方を検討しようと、4月13日の午後5時から7時までと4月27日の午後6時から8時までの2回、ピークカット15%トライアルを行う。1回目の節電効果は翌日中に公表し、その結果を検証し、必要な改善を加えて第2回のトライアルを行う。
地域別説明会は、これらの取り組みを県民に周知し、協力を仰ごうと自治体や商工会議所、商工会、地域産業に支援機関などを対象に開き、県央地域会場には製造業者を中心に約80人が参加した。
4会場すべてで冒頭にあいさつした大野裕夫副知事は、県央地域が積極的に震災による避難者を受けいれていることに理解を示した。
県が製造業者を対象に緊急に行ったアンケートの結果を紹介。地震の影響があるというのが76%、計画停電の予告だけで稼働時間の変更を迫られたのが37.8%、稼働日を変更したのが24.1%、休業したのが21%、動力源を確保したのが15.3%。また、県に対する要望の41.7%が計画停電関連だった。
大野副知事は「とくに新潟におきまして、この県央地域というのはものづくりの中枢」で、「これから被災地復興のためにもこういったものを作ってほしいという注文ていうのは、当然に入ってくる」と考え、「そのときに新潟は計画停電がひどいからそんな注文されても生産できないよと言ったんでは、被災地の復興にも差し支えてしまう」と県央地域の生産能力に対する期待の大きさを強調した。
東京電力管内は夏場、ピークを20%から25%カットする必要があり、計画停電を避けられないが、東北電力管内は10%カットで間に合う。しかし、ぎりぎりでは停電が起きなくても計画停電が実施されるため、バッファを含めてピークカット15%大作戦を行うとした。
ただ、節電も大事だが「節電とピークカットは違うということ」の理解を求めた。オイルショック当時はエネルギーが足りず、電力使用の総量をカットしなければならなかったが、今はあまり意味がない。問題はピークだけ。土、日曜の電力供給は十分だが、夏場は家庭でも消費電力が大きいモーターを使う掃除機、洗濯機、乾燥機、ドライヤー、食器洗浄機などはピークの時間帯を避けて利用する必要がある。
節電効果は県庁31%、新潟市役所で30%にものぼった。大手スーパーは50%近くにもなったが一方で、「わたしは製造業の方には大いに電力を使ってどんどん生産をやっていただきたい。とくにこれから特需が生まれて注文が増えてくるようなところ。大いに使っていただきたいと思いますが、それをいつの電気を使うかということをよく考えていただければ(計画停電を)避けられるんじゃないか」との見通しを示し、生産の低下を招かないよう求めた。
最後に「ほかの地域では一言も申し上げてないこと」として、「例えば県央地域では(計画停電が)あるとしても火曜か水曜だけですよ。ほかは絶対、停電しないといえば計画的に操業できる」とういアイデアも示した。「夏までに皆さま方の生産が最低限止まらないようにということで泉田知事以下、全力を尽くしてまいります」、そして「泉田知事がとくに県央地域は、この生産を絶対にとめてはいかん」と話していたメッセージも伝え、ピークカットに協力を求めた。