燕市は5日、燕市内の避難所で生活し、燕市立小池中学校1年生に入学する女の子2人に制服や体操着など一式をプレゼントした。
小池中に入学するのは、第1避難所の防災センターと第2避難所の市民研修館・武道館の1人ずつ。両避難所を毎日、訪れている鈴木力市長は、この日も夕方に避難所を訪問し、それぞれに直接、制服を手渡した。
第2避難所から小池中へ通うのは、福島県南相馬市から避難している大木戸奈々子さん(12)。南相馬市立真野小学校から市立鹿島中学校へ進学の予定だった。
鹿島中の制服はセーラー服だったが、小池中はブレザー。イメージしていたブレザーではなかったが、さっそくブレザーを羽織ると「ブレザーの方が良かった」とにっこりだった。
中学校では「部活が楽しみ」で、「吹奏楽部に入るつもり」。「クラリネットをやってみたい」と照れくさそうに話した。
奈々子さんの母、圭子さん(39)と圭子さんの両親の家族4人で避難している。介護が必要な祖母は千葉県の施設に受け入れてもらった。地震の揺れでは家は無事だった。福島第一原発からは30キロ圏に入るか入らないかという位置だが、1階部分は津波で浸かり、がれきなどが流れ込み、もう家は使えないと見ている。
避難所での奈々子さんは、年下が多いが子どもたちと仲良しになった。一緒に小池中に進む第1避難所の女の子は、同じ真野小のと友だち。2日前にも燕市教育委員会経由で学用品費として5万円を受け、すでに学用品もそろえた。燕市から圭子さんの話では、数日前に制服の採寸を行った奈々子さんは「早く制服がこないかな」、「いつ届くの?」と楽しみにしていたと言う。
奈々子さんが鈴木市長から受け取った制服を武道場の家族のスペースへ持ち帰ると、近くの人たちから自然に拍手が。震災で失ったものの方がはるかに多いが、震災がなければ得ることがなかった喜びや感動も確かにある。