三条市本町2、「スナックマンマ」を経営する五十嵐敏江さん(66)は、4日に三条市・千翔で開いた同店の26周年記念パーティーで、同店恒例のまゆ玉につけた寄付をはじめパーティー参加者からの寄付など合わせて50万円余りを、三条市に避難している人たちのために役立ててほしいと三条市に寄付した。
パーティーは約130人の出席者全員で東日本大震災の犠牲者に黙とうして開会。あいさつの冒頭で五十嵐さんは、「一刻も早い復興を祈っています」と願い、この日行う予定だった福引きをやめ、その経費も寄付に充てさせてもらいたいと話し、拍手で了解を得た。
五十嵐さんは、2004年の7・13水害では自宅が被害に遭った。2008年10月の本寺小路の大火事では店舗を焼失したが、「わたしなんかは幸せなほう」で、津波で何もかも失い、原発事故で家に戻れない大勢の人たちを気遣った。
あいさつで出席した国定勇人市長から登壇してもらい、1万円札や千円など札もたくさん下がったまゆ玉飾りと、善意を包んだ寄付を五十嵐さんから手渡した。寄付の内訳はまゆ玉19万1,006円、同店有志一同として20万円、貯金箱に入れた1万3,250円、出席者の1人から預かったという10万円の合計50万4,256円。
国定市長は、三条市に約570人が避難している現状を話した。避難指示区域が解除されないと戻るのは難しく、苦しい立場におかれている人が多く、長丁場が予想される。「皆さま方の善意の気持ちをちょうだいしながら今、受け入れている方がひとり残らず、少なくとも住宅再建のめどがたつまでは、お支えすることを基本としたい」と考えを述べた。
さらに、「わたしたちにできること」として、善意を形にするのも大切だが、もうひとつ大切なこととして、「決して私たちのまち三条は被災地ではないんだ。どうか被災地のためにも正々堂々と飲み食いをしていただいて、経済を回していただき、結果的に東北地方の経済の支援につながる」と震災前と変わらない経済活動を求めた。
同店は毎年、小正月の予祝行事で店内にまゆ玉を飾り、そこに五十嵐さんが数千円を飾ったのがきっかけで客が紙幣や硬貨をセロハンテープで張り付けるようになった。そうして集まった善意を毎年、三条市に寄付しており、今回25年目になった。
パーティーも毎年、続けているもので、今回は地震などの関係もあり開催について検討したが、市内の飲食店でも自粛ムードで影響が出ていることもあり、こういうときこそ開いたほうかいいと開催した。