来春公開を目指して燕市を中心に撮影される燕のご当地映画『アノソラノアオ』のキャストオーディションが10日、燕市吉田産業会館で行われ、公募した36人のキャラクターを夢見て予想を超える142人が参加した。
制作は「はばたけ燕実行委員会」(委員長・細川哲夫燕商工会議所副会頭)。友人の死をきっかけに起こる出来事と、それにまつわる燕市の若者を中心とした人々を描く。本県出身の俳優や市民の出演にこだわって地元でのキャストオーディションとなった。
数十人の参加を見込んでいたが、ふたを開けてみれば0歳から70歳まで142人にものぼった。うち燕市内に住む人が99人と圧倒的に多く、東京からも4人が参加し、ハーフの参加も。個別オーディションではいくら時間があっても足りないので、5、6人ずつのグループでのオーディンションとなった。
審査員はこの作品の映画監督で国際映像メディア専門学校=新潟市中央区古町通7番町=などで講師を務める燕市吉田地区の出身、在住のナシモト タオさん(43)をはじめ、アシスタントプロデューサー、撮影監督、制作担当、新潟フィルムコミッションメンバーの5人。参加者は自己紹介、自己PRのあとシナリオの実技、質疑応答などを行った。
参加者のなかに、東日本大震災の影響で中止になった分水おいらん道中で信濃太夫に決まっていた上田智世さん(23)=燕市五千石荒川=も。母佳澄さん(46)も22年前、1989年に同じ信濃太夫を務めており、史上初の母娘2代続けてのおいらん役として注目を集め、このオーディションには母娘2人で参加した。
佳澄さんは東京で小劇場の舞台に立った経験があり、10年ほど前に新潟市芸術文化会館「りゅーとぴあ」で開かれた市民ミュージカルに出演したことも。さらには3年前、新潟県警が制作した振り込め詐欺被害防止CMにも出演しており、地元での映画制作と聞いて居ても立っても居られずオーディション参加を即決した。
その血を引く智世さん。中学校は演劇部でバレエの経験もあり、音楽大学で学園オペラの出演経験もある。佳澄さんに「やったらと言われて、せっかくなので、なかなかこういう機会がないので」と母娘そろっての参加となった。
佳澄さんは、エキストラでも出演したいと思っていたが、オーディションに合格すれば役がもらえる。「新潟が元気なことを発信して映画の応援になればと思います」と迷いはない。智世さんにとってはおいらん役が1年先送りになったが、合格すれば来春はおいらん役に出演映画公開と、まさに満開の春が到来する。
また、同じ時間帯のオーディションでは長井由喜雄燕市議も参加した。議会で修羅場もくぐり、元保育士で人前に立つのは慣れたもの。6月議会中に撮影の可能かといった質問や台詞を地元の方言に直して話してみてほしいというリクエストにも応えていた。
オーディションの合格発表は1、2週間後に行う。クランクインは当初、ゴールデンウイークころの予定だったが、東日本大震災の影響もあってやや遅れ、5月24日クランクイン、6月中旬にクランクアップの予定だ。