福島第一原発の事故で避難指示や屋内待避が出されている福島県南相馬市から派遣された職員が9日、市民が避難している燕市の避難所を訪れ、避難している人たちの声を聞いた。
南相馬市の健康づくり課職員と市立病院の言語聴覚士の女性2人が夕方、第2避難所の市民研修館・武道館を訪れた。同避難所には約80人の被災者が生活しており、そのなかからリーダーの佐藤賢二さん(59)=南相馬市鹿島区=をはじめ3人と話し合った。
この避難所には、3月22日に南相馬市から青木紀男教育長をはじめ市職員が訪れた。同市から説明や情報伝達が十分になされていないことに避難している市民の不満が高まるなか、東日本大震災から12日目、同避難所に3月17日に到着してから6日目になって初めての訪問という遅い対応が市民の感情を逆なでした。
さらに22日の訪問では、25日ころをめどに避難所への職員派遣を検討すると回答したが、それから2週間以上たったこの日になっての派遣が、心証を害した。
市民は職員に対して市の対応の悪さに声を荒らげることもあったが、職員も自分の意志で動いているわけではなく板ばさみ状態にあるのがわかり、精一杯、感情を押し殺して話していた。
南相馬市は、福島第一原発から20kmから30km圏内の屋内待避の指示が出された地域が多い。リーダーの佐藤さんは、国が屋内待避地域を避難指示に切り替えようとしているときに、市が屋内待避を解除すると話している食い違いを指摘。職員は一時帰宅の意向を調査していることにも反発し、「避難指示に変わる可能性があるのに、一時帰宅を意向調査しても意味がない」と切り捨てた。
翌10日、職員は午前8時前に第1避難所の消防本部防災センター、続いて第2避難所でそれぞれの避難者との全体会議にのぞむ。職員は「避難所の皆さまの生の声をどんどん市の対策本部に上げていき、避難所の皆さんには市の情報を伝え、体調管理にも気を配っていきたい」と話しているが、全体会議では紛糾が予想される。