国定勇人三条市長は12日行った定例記者会見で、東日本大震災に伴う被災地の状況や政府の対応に関する国の情報提供のあり方に改善を求める姿勢を示す一方、政府から一時帰宅の輸送を求められればスムーズに一時帰宅できる準備も進めているとした。
国定市長は、この時期に政府批判をしてもしようがなく、するつもりもないと前置きしたうえで、「市町村の災害対策本部そのものに情報がまず乏しいというのが現実」。前日10日に発表された計画的避難区域、緊急時避難準備区域の設定も「まさにテレビを通じて初めて知った立場」と戸惑いを示した。
翌13日に臨時で開かれる県の市長会では、「国に対して、もうちょっとていねいな情報提供のありようっていうことを模索した方がいいんじゃないでしょうか」と提言する考えだ。
避難している人たちの差し迫った課題は一時帰宅だが、「政府は避難区域の設定の見直しと合わせて一時帰宅の措置をとるというのがこの一週間繰り返され、きのうは避難区域の再設定の言及にとどまり、一時帰宅については言及がなかった」。
一時帰宅は、国がやると言っても「最後は市町村がやっていかなければいけない」が、それは被災者を受けて入れている三条市の「宿命」。政府から「市町村が輸送してよという風に言われたときに、だだをこねることなく、わかりましたと、いの一番に、逆に言うと三条市が受け入れている被災者をスムーズに南相馬市さんをはじめとした避難の関連の指示が出ている区域に対して一時帰宅ができるような準備を今も進めてございます」と胸を張る。
避難者からの一時帰宅の要望は下火になりつつあるのは、「わたしたちを信頼してくださっている」と思い、その信頼を裏切らないためにも政府から「あるていどの方向感が出てきたときには、わたしたちがいち早く一時帰宅ができるんだという準備だけはこれから先も整えていきたい」とした。
仮設住宅の建設に関する質問については、翌日の県市長会の議論を待たねばならないとしたが、これまでも複数の市長との話したなかでは、新潟に仮設住宅をつくるのは「ナンセンスなんじゃないかと」。
被災地ではないので民間賃貸住宅もたくさんあり、仮設住宅一戸につき300万円くらいかかるが、家賃の全額補助、上限5万円なら年間60万円。仮設は原則で最長2年間で、財政面からも柔軟に対応すべき課題で、ほかの市長とは「より柔軟なサービスを受けられることを模索することで、ほぼ一致」しており、市長会でも重要なトピックになりそうとした。
また、一部で避難所の閉鎖が報道され、心配している避難者があるという質問には、「十日町の情報が錯綜したのでは」と推測し、「最後の生活再建に一定のめどがたつまで全力でお守りをするという気持ちにはまったく変わりございません」、「予見できるスケジュール感のなかでその避難所を閉鎖するっていう意図はまったくもちあわせておりません」ときっぱり否定した。