初の外国人力士として人気を集めた元大相撲力士で前東関親方の高見山大五郎さん(66)が19日、三条市の避難所を訪れ、福島県などから避難している人たちと気さくにふれあい、笑顔で「2倍!2倍!応援している!」と励まし、勇気を届けた。
高見山さんは昭和54年8月の三条巡行以来毎年、花見のころに知人の建築業(株)堀江部屋=三条市嘉坪川1=の堀江直樹会長を訪ねている。
ことしも前日18日に来条して三条市に東日本大震災で避難している人がいるのを知り、「役立つことができれば」と急きょ慰問を決めた。高見山さんはハワイ出身で現役時代は「ジェシー」の愛称で親しまれ、数多くのCMにも出演して人気を集めた。
その後、東関親方となったが、2009年に65歳で親方業も引退し、今は世話になった人へのあいさつ回りなども行っているという。
高見山さんは午後3時に堀江会長、堀江部屋の堀江樹一社長と3人で市役所を訪れ国定勇人市長に「渡辺大五郎 元高見山」の名の義援金を手渡し、その足で総合福祉センター、勤労青少年ホームと2カ所の避難所を訪れた。
総合福祉センターでは、高見山さんの姿が見えると拍手が起こった。高見山さんが「大丈夫?」などと声をかけ、握手したり肩をたたいたりしながら体育館を回ると、避難している人たちは自然と笑顔に。
現役時代はもみあげが特徴的だったが、今はたっぷりした白いひげ。テンガロンハットをかぶり、今おも大きな腹を「ぽんぽん」とたたいたり、記念撮影を求めた男性に自分の帽子をかぶせたりとおどけてみせると、誰もが自然と笑顔になり、会場はいっぺんに満開になったような華やかな雰囲気に変わった。
津波、地震、原発事故で避難生活を強いられている人たちに「本当にかわいそう。頑張ってください」と言い、「こんなに喜んでくれるとは思わなかった」と自身も感激。「2倍!2倍!、頑張ってほしい」と自身が出演した有名な布団のCM名せりふもサービスした。
相撲ファンのおじいさんも多く、避難所でこんなに笑顔になったのは初めてと話す家族も。86歳の男性の妻は「最高にうれしかったです、励まされました」。夫はテレビの相撲中継にくぎ付けだったが、八百長問題で春場所が中止になって寂しかったと言い、テレビでしか見たことがない高見山に会えて感激。「勇気づけられました。なんだかほっとしました」と喜んでいた。