厳しい経済状況のなかで発生した東日本大震災が産業や経済に影響を与えるなか、三条市と燕市は26日午前、燕三条地場産業振興センターで両市合同の燕三条地域景況対策会議を開いた。「東日本大震災による燕三条地域の景況及び今後の対応策について」をテーマに意見交換し、両市長連名で「燕三条地域の今後の産業活性化に関する共同声明」を発表した。
この合同会議は、2009年の4月と11月、2010年8月に開いて以来4回目。会場の地場産業振興センター理事長の鈴木力燕市長、国定勇人三条市長をはじめ、大野裕夫新潟県副知事、両市の商工会議所や商工会など商工団体、労働者団体代表の連合県央地協協議会、職業安定所や金融機関などの地域経済団体、県産業労働観光部職員など32人が出席した。
鈴木市長はあいさつで、これまで3回の開催では、そのときの経済状況のなかで、現状や各業界の課題を話しあいながら、それぞれの両市で何ができるか、国県への要望などを話し合い、今回は未曾有の大震災を受けての経済の影響について、状況を把握し、どう乗り切るか知恵を出し合いたいと話し、忌憚(きたん)のない意見を求めた。
会議の報告では、東日本大震災の影響による部品の納入遅延で休業した企業や、取引先が被災して納入できずに在庫が増大した企業がある。EUなど外国の通関検査で放射能汚染検査を受けた証明がないと通せないなど、通常のルートで輸出できず、時間がかかって資金繰り悪化などが起こっている。
それらを受けて両市は、「経営支援のための取組」、「生産確保のための取組」、「機会創出のための取組」の3項目を提案。「経営支援では、債権回収困難者対象の新規融資制度の創設、雇用調整助成金の要件緩和の国への要望をはじめ、消費自粛ムードや節電・計画停電への対応などをそれぞれ示した。
この日の会議を受けて最後に両市長が「燕三条地域の今後の産業活性化に対する共同声明」を発表。「本日、燕市長鈴木力と三条市長国定勇人は、燕三条地域の企業活動を積極的に支援し、将来を見据えた産業振興を図る必要があることから、本日開催した『燕三条地域景況対策会議』の内容を踏まえ、次のとおり地域として推進し、国、県に対して要望することを表明します」と3項目を発表した。
また、この日は景況対策会議に先立ち、午前9時から同会場で講演会を開いており、「電力需要に対する取組について」を大野新潟県副知事、「現在の金融情勢並びに景況と今後の見通しについて」を内田眞一日本銀行新潟支店長がそれぞれ講演し、約150人が聴講した。共同声明にで示した3項目は次の通り。