三条市から世界のアウトドアブランドとして確固たるステータスを築いたスノーピーク=本社三条市中野原・山井太社長=は29日、新社屋「snow peak headquarters(スノーピーク・ヘッドクォーターズ)」をグランドオープンし、本社と同じ敷地に設置した直営のキャンプ場と直営店をオープンし、本格始動した。
25日に新社屋の竣工式を行い、本社機能と工場が稼働。次いで29日のグランドオープンで残るキャンプ場と店舗がオープンし、すべての機能がそろった。
時々、小雨がぱらつくあいにくの天気だったが、開店を前に東京や埼玉、遠くはなんと福岡からもスノーピークファン数十人が集まって午前9時のオープンを待った。社員全員が店舗前に並び、黒地に白でスノーピークのロゴのある横断幕を掲げ、拍手とともに「いらっしゃいませ!」と元気に出迎えた。
店舗の左右は床から天井まで全面ガラス張り。屋内にいることを忘れさせるほど自然光がたっぷり差し込む。同社の600から700のアイテムがすべてそろっているほか、同社がセレクトした他社アイテムもあり、合わせるとざっと1,000アイテムが並ぶ。
注目は新しいアパレルだ。OE(オーガニックエクスチェンジ)認証オーガニックチノでつくった「OEセルビッチチノジャケット」(59,000円)と「OEセルビッチチノパンツ」(23,000円)、ぜいたくな2枚合わせの白い苧麻(ラミー)素材のシャツ「ラミーボンディング レギュラーカラーシャツ」(29,000円)などが男女約20アイテムずつをラインアップした。
山井社長自身がディレクションし、自分が着たい服をディテールまでこだわり、納得いくまで作り込んだ。先に価格ありきではなく、価格はコストを積み上げた結果。これまでもアウトドアウエアはあったが、その延長線上として自由な会社ならオンビジネスで、堅い会社ならオフで着られるウエアをと開発したもので、アパレル業界にもインパクトを与えそうだ。
製品を見ただけではわからない情報をスタッフが提供してくれるのも直営店ならでは。例えば同社初の電気製品、ソリッドステートランタン「ほおずき」(8,800円)。音や風に反応するLEDのランタンとして一昨年の発売以来、大ヒット商品となったが、落下してもけがをしないように重量を軽くし、シェードに硬いプラスチックではなく軟らかいシリコンを採用。フックは台座のように使え、キャップを外すとUSB給電できるなど、徹底的な工夫や開発ストーリーがモノに対する愛着を高めてくれる。
わざわざ遠く県外から訪れるファンは、出費は覚悟のうえ。10万円を超す支払いにもちゅうちょうするどころか、本社の直営店舗のオープン初日に買い物できた喜びで大満足。何千円の買い物をした人は、「こんなにいい袋に入れてもらって」と高級感のあるショッピングバッグに恐縮し、何百円の調味料ボトルを買い求めた人は、「100円ショップで買ったのは毎年、だめになもので」とあらゆるものにスノーピーク・クオリティーを期待していた。
キャンプフィールドはゴールデンウイーク中に約100組の予約を受け付け、初日はぐずついた天気で花冷えだったが、次々とスノーピークスブランドのテントがキャンプサイトに立ち上がると、緩やかにうねる丘陵が鼓動を始めた。
アウトドアの楽しさを知ってもらおうと、キャンプ道具を持たずに体ひとつで訪れてキャンプができるようなレンタル事業の整備も進めており、盆前にはスタートしたい考えだ。また、数年内にレストランも営業する考えで、新たなスノーピークの拠点の進化は続く。
山井社長は、この日も店舗や社内見学の案内などで本社内を忙しく行き来し、「ゴールデンウイーク中は9連泊するつもりです」とユーザーとのコミュニケーションや製品のフィードバックが聴けることを楽しみに張り切っていた。
直営店は年中無休で午前9時から午後7時まで営業。5月5日までスプリングキャンペーンを実施中で、同一店舗で5万円以上を買った人に限定ノベルティ「バッグハンガー」をプレゼントしているほか、同店ではオープン記念として同じく5月5日まで5万円以上を購入した人にオープン記念のマグカップかステッカーを合わせて3点までプレゼントしている。
キャンプフィールドの利用料金体系は、時期によってトップシーズン、レギュラーシーズン、オフシーズンと3つに分かれ、例えばゴールデンウイーク中はトップシーズンなので、会員はサイト料金3,000円、入場料はおとな1人2,000円、子ども1人500円。入場料はシーズンにかかわらず一定で、サイト料金がシーズンによって異なり、オフシーズンのサイト料金は一律0円になる。利用は同社ホームページからオンラインで予約する。