2日朝、燕市の2カ所の避難所から福島県南相馬市の13世帯22人が、南相馬市内の自宅や新たな避難所に南相馬市が手配した大型バスや自家用車で帰宅した。
避難所の1つ体育センター前では、バスに乗り込む計12人を、燕市の鈴木力市長はじめ、大岩勉議長、職員、ボランティアらが見送りに訪れ、午前10時20分の出発では、互いに姿が見えなくなるまで、手を振っていた。
鈴木市長は見送りのあいさつで、避難生活の苦労をねぎらうとともに「今度お会いするときは、観光とか楽しい話題でお会いしたいですね」と再会に期待。「これからも大変なことがあるかもしれませんが、燕市はいつでも応援しています」と話し、避難所をあとにする一人ひとりと握手し、言葉を交わした。
燕市では帰宅する人に、市民や団体から提供された米とモチを土産として、1人につき米10キロ、もち1キロをプレゼントしており、この日も、鈴木市長が代表者に米を手渡した。
また、津波で家が流され、福島に帰宅といっても新たな避難所で生活をはじめる大工の男性がおり、商売道具の大工道具も流されたことを知った三条市の金物業を営む人から大工道具一式の寄付を受けた。男性は出発直前だったが「立派な道具をもらった」と、こん包した荷物をほどき、笑顔で鈴木市長に道具を見せる場面も。避難所の人たちからは「これで仮設住宅、いっぱい建ててくださいね」と声をかけられていた。
避難所に毎日通い、全員の顔と名前を覚えたという市長は、笑顔で見送ったバスが見えなくなると、「なんかさみしいなという気持ち。ある意味、祝福しないとなんだけど、ちょっとさみしいな」と話していた。
バスはこの後、聖籠町でも本県に避難していた人たちを乗せて福島に向かった。
燕市の避難所に避難した人は、3月22日の213人がピークで、合計22人が帰宅したこの日夕方には、一時帰宅している15人を除き、58人となった。