「第1回三条削ろう会 東日本大震災復興祈願・三条記念事業」の200年杉御柱建てが8日、三条鍛冶道場駐車場で行われ、福島県から三条市へ避難している人と市民がロープを引いて被災地の復興を願う高さ10メートルの御柱を5月の空に向かってすっくと立ち上がった。
三条削ろう会(馬場正行会長)を中心に組織する実行委員会が主催。御柱は高さ10メートル、下は60センチ四方、上は45センチ四方の四角柱。現代の機械を使った製材とは違い、古来からの人の手で仕上げる「斧はつり」の技術の第一人者雨宮国広さん(山梨)や、山崎伸一さん(茨城)、下平剛志さん(長野・木曽)大工3人が5月4日から5日間かけて仕上げた。
午後1時からその御柱を建てたもので、約300人が見学に訪れた。東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげて始め、実行委員会名誉会長の国定勇人市長があいさつ。国定市長は、5月2日に三条市から福島県南相馬市へ一時帰宅した人たちに同行したことにふれて「自分たちの町をなんとしても復興させるんだと力強い決意」があり、「あの市長さんのものとでなら確実に復興できる」と確信した。
さらに「皆さま方と心を一にして、東日本大震災で亡くなられた尊い命を奪われた多くの皆様方のご冥福をお祈りするとともに一緒になって被災地に向かって頑張っていこうじゃないかという気持ち」で御柱建をしたいと意気込みを話した。
三小相承会の清めの太鼓に続いて、国定市長が墨で書いた「東日本大震災復興祈願・三条記念事業」の書を柱に付けた。クレーン車もサポートして御柱の上部に取り付けた2本のロープを、南相馬市はじめ三条市に避難している福島県の人と国定市長はじめ三条市民数十人が手に持ち、「よいしょ!よいしょ!」のかけ声とともに綱引きの要領で引いて立ちあげた。
観客は拍手し、「建てると、でっけーもんだなあ」の声も。見上げると青空に向かって伸びる御柱は迫力と威厳があり、御利益に授かろうというように大きな柱をさわったり手をさわったり、御柱と一緒に記念写真を撮ったりしていた。
福島県南相馬市の60歳の男性は、「新潟、三条の人が復興を願ってくれることはうれしい」と言い、原発事故は収束せず、不安が続いているが、同時開催だった三条マルシェなども含めて「一時でも忘れて楽しめた」と流れる雲にむかってそびえ立った大きな御柱を見上げていた。台座に建てられた御柱は、三条祭りの行われる5月15日まで同駐車場に設置している。