三条祭りは15日、ハイライトの大名行列、それに続く舞い込みが行われた。ことしは日曜に当たって青空の広がる好天にも恵まれ、昨年より5,000人も多い6万人(三条市発表)もの人出でにぎわった。
前日の宵宮の3万3,000人と合わせて2日間で9万3,000人の人出で、舞い込みが始まった午後5時には、八幡宮境内に7,000人と八幡小路などの本通り8,000人の計1万5,000人が繰り出し、身動きが取れないほどの大にぎわいとなり、関係者も言葉を合わせたように近年にない混雑と驚いた。
最高気温は23.9度で初夏の陽気。大名行列は鉄棒、露払、先供(やっこ)を先頭に、傘鉾、道祖神(てんぐ)、鷹匠や弓持ちの子どもたち、三条祭り若衆会、神職、囃子方、傘鉾など総勢約450人以上の大編成で、午後0時40分に馬場信彦祭典委員長の出立式のあいさつに続いて八幡宮を出発した。
ことしは若衆会の参加だけでも例年より約40人も多かった。好天に加え、震災の影響で大型連休も遠出を控えるなど自粛ムードが続いたせいか、大名行列が出発する前から沿道の大通りでは場所取りが始まり、大名行列が差し掛かるころには4重、5重の人垣となるところもあった。
先供は2人1組で「え〜とま〜かせ〜」と掛け声をかけて進んだ。道具を投げて受け渡し、長い柄をしならせ、受け渡しするのが見どころで、成功すると観客から大きな拍手。一方で、道祖神の天狗が「カーン、カーン」と1枚歯の高下駄の音が聞こえてきただけで、泣き出す子どももいた。
舞い込みの行われる境内は、午後5時の開始前から半天を着た子どもを肩車した親子と見物客があふれた。大名行列を終えて八幡宮に戻ってきた先供、天狗、御神馬(ごじんめ)が拝殿に入ったあと、2基の神輿、太鼓のそれぞれに続いて肩車の親子が境内を3周。神輿を拝殿に入れまいとする先供と納めようとする担ぎ手との迫力のぶつかりあいを演じた。
夕日で黄金色に輝く神輿が拝殿に納まると、祭関係者や見物客から歓声や拍手。それに続いて親子が吸い込まれるように拝殿に入り、子どもの無病息災を祈願した。
今回は、三条市に避難している福島の小学生が、転入先の三条小学校の子ども神輿に参加しで、神輿や台車を引いたり、笛を吹いたりと短時間の練習にもかかわらず、立派に務めた。
避難所で生活している福島県南相馬市の父親は、額に汗を光らせて顔を赤くして子ども神輿を引く小学生の男の子に「いい経験をさせてもらった」と子どもたちの頑張りに目を細めていた。舞い込みを見物していた南相馬市の女性は、「三条に(避難して)来なければ、見ることはなかった。すごい迫力ですね」と祭りを楽しんでいた。
また、大名行列を見物していた三条の女性は、たまたま話した隣の人が三条市に避難している福島県の人で、「三条の人には本当によくしてもらっている」と礼を言われたと恐縮していた。
参加人数、見物客とも近年にない数で、舞い込みも勢いよく走ることができないほどの混雑だったが、大きな事故もなく終了。最後に1本目は三条祭りに参加し、見に来てくれた人、2本目は三条市の繁栄ため、3本目は日本全体が復興することを祈念して三本締めを行って締めくくった。