笑いで自己治癒力の向上をサポートする「笑い療法士」の小越ゆみ子さん(61)=燕市吉田下町=が13日、所属する民踊のグループとともに燕市杣木、有料老人ホーム「ニチイのきらめき」(長谷川仁管理者・入居者51人)を訪問し、入居者から民踊や紙芝居の読み聞かせを楽しんでもらった。
食堂に約40人の入居者が集まった。小越さんが同ホームを訪問するのは数回目になる。小越さんが所属する民踊グループは、吉田地区の粟生津の「みのり会」(芦田聡会長)。その会員4人が、津軽三味線などで民踊を生演奏して歌った。
続いて、小越さんは戦時中に戦争で両親を失った姉弟と復員兵のふれあいを描いた高齢者向け紙芝居『父のかお母のかお』を読み聞かせた。その前に札幌の初競りで夕張メロンが2玉100万円のご祝儀相場で競り落とされたニュースを紹介して驚かせ、お年寄りのなかには北海道出身の人もいた。
小越さんのこれ以上ないくらいの明るい笑顔と弾んだ声に、お年寄りも自然と笑顔に。胸を打つ紙芝居にはじっと聞き入っていた。最後に津軽甚句を歌うと小越さんは集まったお年寄り一人ひとりと握手。帰る小越さんをエレベーターの所まで行って見送り、何度も「ありがとうございました」と頭を下げるおばあさんもいた。
小越さんは山形県出身で、新潟に嫁いで35年以上。56歳のときに新潟県内では初めての笑い療法士に認定された。笑い療法士は、全国組織の「癒しの環境研究会」が2005年から認定している資格で、体と心をいやし、ほっとする、あたたかな療養環境を「癒しの環境」と呼び、それは何か、何をすべきかを患者の立場に立って考え、具体的、学際的に研究している。
たまたま本で笑い療法士の存在を知った小越さん。10年ほど司会業を務めた経験があり、旧吉田町の芸能発表会で司会を詰めたこともあるが、「これらからのライフワークにしたいな」と認定を受けた。
ボランティアは20年ほど骨髄バンクに取り組んだことがあるが、笑い療法士で新たな社会貢献の道を見つけた。主に高齢者を対象とした施設を訪問し、昔話、歌、手遊びなどを行う。東日本大震災の避難所へも出向く。
「笑って気持ちが通じ合ったときがいちばんうれしい。始める前と終わったあとの表情が全然、違うんですね。その感激が忘れられなくて」。確実に感じる手応えが小越さんの背中を押してくれる。
県内でも何人か笑い療法士の仲間ができた。「ひとりでも多くの人たちと仲良く気持ちを通じたい」。声がかかるのを楽しみにしており、小越さんに訪問などを頼みたい人は燕市社会福祉協議会(電話:0256-62-4361)へ問い合わせる。