三条市は震災で被災した人たちの就労を支援しようと被災者を対象に市の臨時職員を募集しており、18日は採用した6人が業務につき、新しい生活の一歩をスタートした。
採用したのは、三条市に避難している福島県南相馬市と浪江町の20歳代から50歳代の男2人と女4人の6人。いずれも一般事務職の採用で、業務内容は、各避難所での催しなどの企画運営やイベントなど善意の申し出の受け付けや調整などの事務補助、被災地の情報収集と避難所への周知などにかかわる事務補助など。
この6人のほかに三条市では、保育士の有資格者1人をすでに4月から採用しており、被災者の臨時職員採用はこれで7人に。5月30日の締め切りで追加募集もしている。
18日午前9時から市役所で採用の6人の紹介と国定勇人三条市長があいさつを行い、国定市長は避難生活が長期化するなか、「私たちと一緒になって、逆に避難されている方々のケアをしていただくような立場にひとりでも多くの皆さんになっていただきたいという切なる思いでの呼びかけに、快く勇気ある第一歩を踏み出していただいた」と感謝した。
同時に避難している人と同じ立場で肌身に感じる思いを仕事に役立てれば、「同じ経験をされている被災者の気持ちにしっかりと届くことになる」と市職員にない視点に期待。「3月11日のあの時の思いをしっかりと胸に抱いて」日々の業務に当たり、自分の苦しみや悩みは同僚や市長に声をかけてほしいと求めた。
6人は新たな環境での門出で、多くの報道関係者を前に緊張のようすがありあり。個別にコメントを求められると、ほっとしたのと「ふつうの生活」の一歩ともいえる仕事ができる期待感からか笑顔だった。
南相馬市の伊藤昭子さんは、「昨日は緊張して何度も目が覚めました」。避難所で過ごす1日は長く、「やったことのない仕事にチャレンジできてうれしい。わくわくします」、「恩返しをするような気持ちで仕事をしたい」と張り切っていた。
伊藤さんは両親と3人で三条市の避難所へ向かったが、父はその途中で体の具合が悪くなって福島県内の病院に入院、母もその看病をしており、仕事をすることで両親を三条市へ呼び寄せられればと願っていた。
6人はこのあと、それぞれの配属課でパソコンに向かったり、書類を整理したりと先輩に教えてもらいながらさっそく業務に就いた。臨時職員の任期は6か月だが、勤務成績や希望に応じて更新する。