東日本大震災が燕三条地域の産業や経済にも影響を与えていることから、燕、三条の両市長と両商工会議所がそろって24日、燕三条地域での放射能の検査機関の認定と消費自粛ムードへの対応を泉田裕彦県知事に要望した。泉田知事は、ハード面の放射線検査体制の整備は「さっそく準備にとりかかる」と答えた。
午後4時に鈴木力燕市長、国定勇人三条市長、斉藤弘文三条商工会議所会頭、細川哲夫燕商工会議所副会頭の4人が県庁を訪れ、地場産業振興センター理事長の鈴木燕市長から、震災や原発事故の影響で燕三条地域でもいろいろな影響を受けているのでとして「そのへんの改善を知事の力でお願いしたい」と、泉田知事に要望書を手渡した。
4月26日に両市合同で開催した燕三条地域の景況対策会議で両市長が発表した「燕三条地域の今後の産業活性化に関する共同声明」を踏まえて、2つの項目で要望した。
ひとつは放射能による輸出品の信頼性低下の是正。燕三条地場産業センター内にある県の出先機関の新潟県工業技術総合研究所(県央技術支援センター)で放射線検査体制の整備を行うとともに、国が指定した検査機関として認定し、その検査証明が国の証明結果となるよう国への要望を求めた。
もうひとつは、消費自粛ムードへの対応。4月15日に「東北復興・日本復活のための観光戦略宣言」が発表されたが、引き続き観光キャンペーンを実施し、経済活動の活性化を図り、加えて地域で実施する観光イベントに財政的支援を求めた。
さらに、斉藤会頭と細川副会頭から燕三条地域の実情について、製品の輸出には放射線量を測定した証明書を求められるが、県内には新潟市内の日本海事検定協会で証明書を受けるしかなく、県央地域の主要な輸出品である金属製品は検査のために運ぶのにも手間がかかり、検査費用も安くなく、輸出を見合わせる企業も出ていることを話した。
泉田知事は、「承りました」と答え、ハード面の放射線検査体制の整備については、「きょうの要望を踏まえてさっそく準備にかかる」とした。
また、自粛ムードの払拭には「一生懸命させてもらう」としたが、太平洋側の被災地を差し置いて東京などで「さあ新潟に来てください」とはいかない。一方で内需は確実にあり、夏場の電力不足に対応するためにも家族で外出し、みんなで協力すれば電力需要が下がると呼びかけ、総合的に回るような仕組みをと話した。