三条市出身の経済ジャーナリストで作家の相場英雄さん(43)が3日、東日本大震災に伴う避難者の受け入れ側に新潟県内でもいち早く避難者の受け入れに手を上げた三条市の国定勇人市長に取材した。
相場さんは、今回の取材をコーディネートした燕三条JC前理事長の会社社長梨本次郎さん(37)とともに市役所を訪れて国定勇人市長と面会。被災者の受け入れで心掛けていること、市民のボランティア意識、国や政府、さらには東電の対応などについて国定市長の考えを聞いた。
その後、市内2カ所の避難所のうちのひとつ、三条市総合福祉センターへ向かい、避難している人たちの班長から避難所での生活などを聞いた。
相場さんは三条市出身で、1989年から2006年まで時事通信社に勤務。経済記者として活躍する一方、2005年に『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビューを果たした。
フリーの経済ジャーナリストとして作家活動も続け、『株価操縦 』(ダイヤモンド社)、『ファンクション7 』(講談社)、『偽装通貨 』(東京書籍)、『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 奥会津三泣き 因習の殺意 』(小学館文庫)などを出版している。
今回はIT系のニュースサイト「ITmedia」の「Business Media 誠」で週1回連載しているコラム「相場英雄の時事日想」の取材で三条市を訪問した。実家のある新潟市へは良く訪れるが、ふるさとの三条市を訪れたのは数年ぶりと言う。
震災発生後は、震災報道のあり方、震災時のSNSの問題、政治家の言動、被災地の現状など震災関連のテーマで書いている。宮城県石巻市をはじめ被災地の現場へも足を運んで取材している。
国定市長について「思ったよりも好印象でしたね」と相場さん。日本の経済、金融の中枢で取材した20年近い新聞記者の経験から、「あえてキャラクターつくって市長ですっていうのを演じているのかなと思ってたら、本当に怒ってたんで、この人は本物だっていう」。
避難者の班長が、東電の社員がひとりも避難所へ来ていないと話していたことに憤る。その役割を受け入れ側の市町村が肩代わりしている現状に、「なんで市がそこまでやんなきゃいけないのと。避難所のケアとか、東電が3人とか4人、必ず出してあげなきゃいけないだろうと」と手応えを感じ、記事の矛先を定めていた。今回取材した記事は16日に掲載される。
また、ことし5月に発売された『STORY BOX 21』(小学館文庫)の相場さん著作の本格ミステリー『震える牛』には、三条カレーラーメンやラーメン店「大黒亭松屋小路店」=三条市本町2=が登場する。「大黒亭松屋小路店」は相場さんにとっても高校時代の懐かしい味、いわばソウルフード。梨本さんは三条カレーラーメンのPRを展開している。
昨年、ツイッター上で相場さんと交流して小説への三条カレーラーメン登場を実現させ、この日、初めてリアルで相場さんと会った。昼は大黒亭松屋小路店で久しぶりのカレーラーメンを味わい、店主に著書を寄贈した。