28日早朝、三条市に避難している福島県南相馬市の80世帯108人が、この日に行われる南相馬市の警戒区域への一時立入のため、大型バス4台に分乗して三条市を出発した。
一時立入りは、福島第一原子力発電所から20km圏内の警戒区域内に居住していた住民が自宅に戻り、当面の生活に必要な物品の持ち出しなどを行うもの。20Km圏外に設置した中継基地に集合して、説明を聞き、必要な準備をしてそれぞれの居住地区に専用のバスで向かう。
自宅では2時間ほど過ごして再び専用バスで中継基地に戻り、放射性物質による汚染がないかスクリーニング検査をして解散。参加は一世帯2人まで。持ち出し品は、1世帯につき約70センチ四方のビニール袋1枚に入るだけで、食品やペットは持ち出せない。
この日は、三条市内に避難している361人(6月27日現在)のうち、南相馬市の20キロ圏内に住む80世帯108人が参加。あわせて、南相馬市の職員と保健士の3人、保健士3人を含む三条市職員7人の計10人も同行した。
大型は三条市が用意した。総合福祉センター2台、体育文化センター1台、総合運動公園1台の市内3カ所から計4台で、まだ薄暗い午前4時半に各集合場所を出発。高速道路の阿賀野川サービスエリアで4台が合流し、南相馬市へ向かった。
午前9時半に中継地点の馬事公苑し、立ち入りを行ったあと午後3時に馬事公苑を出発して三条市に向かう。午後9時ころに各集合場所に帰着する。
総合福祉センターの避難所で生活している60歳代から80歳代の女性3人は、一時立入前日の27日、「そわそわしています。今晩は眠れそうにないようだ」、「うれしいんだけれども、うちの中がどんなになっているか不安」と思いはさまざまだ。
家に帰ったらまず、空き巣に入られていないか調べ、そして冷蔵庫の中身も気になる。「冷蔵庫は開けない方がいいって言われたよ」、「割れた瀬戸物を片づけたい」、「掃除機もかけたい」、「あっという間だから、掃除機かけてる時間なんてないよ」。持ち出し品を20品目くらいリストアップした女性は、今後、避難所を出てからの生活も考えて包丁や鍋も持ってきたいとも。
毎年、各家庭では自家製味噌をはじめ、梅干しやラッキョウも作っていたと言い、「うちの味噌が食べたい」。しかし、食品は持ち出せないからと残念そうだった。また、エコポイントが付くからといってテレビや冷蔵庫、炊飯ジャーも買い換えたばかりだったけれど、これもビニール袋には入らないから残念だとも話していた。