三条市消防本部は(市川忠司消防長)は11日、6月に三条市芹山地内で発生した住宅火災で寝たきりの男性を連携して救出した7人に感謝状を贈り、人命救助の勇気ある行動をたたえた。
感謝状を受けたのは、近所の原正利さん(65)、金安義衛さん(54)、藤沢美智明さん(52)の3人と、隣りの家で作業をしていた市内の岡村左官工業社員の渡辺等さん(56)、佐藤泰彦さん(36)、西巻一郎さん(75)、津原光治さん(61)の4人の計7人。
午後7時に三条市消防本部講堂で感謝状贈呈式を開き、欠席の西巻さんと津原さん以外の5人が参加。同日勤務の消防職員20人ほども列席したなか、市川消防長が感謝状を読み上げて、一人ひとりに贈った。
火事は6月28日午後4時10分ころに三条市芹山地内の住宅で発生。「火事だ」という声とともに炎が上がっているのを、近くで農作業をしていた藤沢さんら近所の4人が確認して駆けつけた。火災が広がらないよう目についたプロパンガスのボンベを外して移動していたところ、家の中に寝たきりの70歳代の男性が取り残されていることがわかった。
隣りの家で作業をしていた渡辺さんら3人とともに、屋外から1階の寝室の介護用ベッドに寝ている男性を確認。原さん、金安さん、西巻さんの3人がサッシ戸をはずし、煙の充満している部屋に入って、寝ている男性をベッドに寝かせたまま部屋から運び出し、外で待っていた4人に引き渡した。その後7人で安全な場所へ運び、男性は煙を吸うなどしたが一命を取り留めた。
同本部によると、もう少し救出が遅れたら一酸化炭素中毒や気道をやけどして呼吸困難になることも予想された。結局、住宅は全焼したが、救出の1、2分後には部屋全体が炎に包まれた。生死を分ける数分の緊迫した状況のなかで、7人の積極的な行動力ある行為で尊い生命を救うことができたという。
市川消防長が感謝の言葉を述べ、「逃げ遅れにより、危うく重大な事故になるところだったが、皆さんの迅速で勇気のある行為によって、尊い人命が救われた」と感謝し、7人の勇気ある行動をたたえた。
感謝状を受け取った原さんたちは、「人間として当然のこと。特別なことでない」と話し、当時は「助けんばないということだけ。怖いとか考えなかった」と話していた。
同本部の感謝状贈呈は、平成19年8月の火災の早期発見・通報の事案以来で、火災現場での人命救助は、平成12年に旧下田村であったものの新三条市では今回が初めて。