越後三条鍛冶集団と交流のある手作りナイフ「風車のナイフ」で知られるドイツのロベルト・ヘアダー社が19日、東日本大震災で三条市に避難している人たちを支援ようと同社のキッチンナイフ80本を三条市を通じて寄付した。
同社のギーゼルハイト・ヘアダー社長が、通訳で翻訳事務所「間」のドイツ連邦共和国公認通訳翻訳士高田知行所長、越後三条鍛冶集団の日野浦司さんとともに市役所を訪れ、原発事故で避難している人を支援する気持ちを伝え、三条市のアパートなどで新しい生活をスタートした人の役に立てばと述べて、国定勇人市長にナイフ80本を手渡した。
持参したナイフは、ドイツ風のペティナイフの「カッティングナイフ」とドイツの農家などで野菜やパンを切るため伝統的に使われている「オールドジャーマンナイフ」の2種類。慣れない生活のなかで役にたててほしいと小ぶりのものを用意した。
同社は刃物の町として世界に知られるゾーリンゲンに本社を置く刃物メーカー。ヘアダー社長は、三条鍛冶集団との交流などで年に2、3回、三条市を訪れており、そのなかで三条市が福島県南相馬市から避難している人を受け入れていることを知った。今回の寄付では、「アパート住まいなどの人たちに、ドイツの手作りの刃物で生活を少しでも楽しんでください」と話していた。
ドイツは東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発廃止を決めた。ヘアダー社長もチェルノブイリの原発事故のころ、妊娠していたので原発に敏感だった。同社は脱原発を訴えている。福島第一原発の事故の影響を受けている人たちを支援する団体のスポンサーにもなっている。また、同社や同団体では、引き続きの支援を計画しており、同団体などではドイツ国内から日本へのクリスマスメッセージの募集も検討している。
国定市長は、地震発生直後のような国際的風評被害も考えられるなかでのドイツからの訪問や、避難している人たちに勇気とエールを送っていただいたと感謝した。