県内でも熱中症による死者が伝えられるようになり、「節電の夏」でエアコンの設定温度が高めに設定されるなか熱中症の危険性が高まるなか、三条市はガス冷房など節電への影響が少ない空調設備を備え、市民に自由に利用できる19の公共施設を設定温度26度とする涼みスポット、その名も「オアシス26℃」を開設した。
対象は市内9つの公民館をはじめ、いい湯らてい、漢学の里、図書館、すまいるランド、ソレイユ三条、総合福祉センター、栄寿荘、サンファーム、体育文化センターのサーキットトレーニングルーム、栄体育館のトレーニングルーム。
対象施設の選定は、電気を補助的に利用するガスヒートポンプ式など、設定温度の変更が消費電力に及ぼす影響が少なく、節電の取り組みに支障のない空調設備のある施設のうち、熱中症対策の観点から、市民の外出を誘導する事業を実施している施設、ロビーなどを市民の涼み場として開放している施設のいずれかに該当する施設とした。
三条市は、全国的で官民が共同で熱中症を呼びかける国民運動「熱中症予防 声かけプロジェクト」に会員登録している。賛同会員になると同プロジェクトの啓発グッズを利用でき、「オアシス26℃」の涼みスポットには、その啓発ポスターを利用して下に「26℃の涼みスポット オアシス26℃」の文字などを描き加え、対象施設に掲示し、アピールしている。
この夏、電力需給が厳しくなると予想されることから、全国で節電の取り組みが盛んに行われている。夏の節電の鍵を握っているとされるのがエアコン。エアコンを利用開始する室温を高く設定する、エアコンを稼働するときは設定温度を高くするのが節電の基本。ところがことしは記録的だった昨夏の猛暑を上回るほどの厳しい暑さに見舞われ、県内でも熱中症になる人が増え、死者も出ている。
考えてみれば、家庭用エアコンはほぼ例外なく電気を使うが、公共施設などの規模の大きな施設では、ガスや重油を利用しているところも多い。その場合、電気は送風など補助的に使われているに過ぎず、設定温度を上げても節電にはほとんど貢献しない。それなら逆にしっかり冷房を効かせ、そこに市民を集めて家庭の電気を節約することが節電につながり、さらに涼みスポットとすることで熱中症予防にも利用してもらおうという、まさに一石二鳥の企画だ。
「オアシス26℃」というキャッチも、何とも涼しげで刺激的。ポスターのデザインや色も涼感満点で、暑い日はポスターにつられて施設へ駆け込んでしまいそう。担当の環境課では、健康づくり課との熱中症予防の啓発の取り組みも検討している。担当職員は、暑さで具合が悪くなりそうなときはもちろん、「何も用事がなく、涼みに来るだけでもいいので、ぜひどうぞ」と「オアシス26℃」の利用を呼びかけている。
県のピークカットの15%大作戦の取り組みは9月9日までなので、少なくともそれまでは続けることになりそう。