越後長野温泉「嵐渓荘」(大竹啓五社長・三条市長野)は、記録的豪雨で床上浸水する大きな被害が出たが、予定通り10日に営業再開の見込みで、奇勝八木ヶ鼻の下から早くも復活ののろしを上げる。
記録的豪雨で「嵐渓荘」の横を流れる守門川が増水してあふれた。しかし源泉に影響はなく、電気、ガスも止まらず、ボイラーや冷房設備も無事だった。客室や厨房も無傷で主に建物の浸水部分だけ修復すれば復旧できる状況だったのは幸いだった。
前庭にあった用水を利用した水車はすぐに復活。正面玄関前にたまった20センチを超す厚さの泥もほぼ撤去され、飛び石も姿を現した。ロビーは床板や壁紙の張り替えが進み、新しい建材の木が香り、復旧が進んでいることを実感させる。週末の6、7日とボランティアを頼み、週明けはここまで休日返上で復旧作業に当たった従業員から休みを取ってもらって10日に営業を再開できることになった。
一方で「嵐渓荘」からも近く、こちらはより大きな流れの五十嵐川のはん濫で床上浸水した三条市南五百川、八木ヶ鼻温泉「いい湯らてい」(代表取締役・国定勇人三条市長)は依然として深刻。設備が浸水し、修理しようにも東日本大震災で被災した工場の影響などで部品の入手が難しく、いまだに営業再開のめどが立たず、早くても2カ月くらいはかかりそうと言う。
6日も社員が館内の清掃などに忙しく、業者による裏の貯水槽の泥上げなど並行して復旧作業が行われている。道具などを運びしてがらんとしたロビーに社員は「大会ができるね」とジョークも出る。玄関を水で洗い流すとタイルが見えてきて、「いつも通りになると安心するね」と笑顔。営業再開までの道のりは遠くとも、着実に前進している手応えに励まされている。