7・13水害から元気になった五十嵐川を全国にアピールしようと今秋の五十嵐川でのサケ釣りをメーン行事として6月末に発足した五十嵐川鮭有効利用調査委員会(山井正直委員長)は22日、7月末の豪雨災害を受けて委員会を緊急招集し、今回の水害で再び河川が大きな被害を受けたため、やむを得ず中止を決めた。
同委員会は五十嵐川漁協、三条市、三条観光協会、三条ホテル旅館組合、三条リバティライオンズクラブ、五十嵐川を愛する会、五十嵐川を復活させる会を委員に、6月30日に発足したばかり。2004年の7・13水害の災害復旧工事も終わり、五十嵐川をさかのぼるサケの有効利用で元気になった五十嵐川を全国にPRするともに、市民に関心をもってもらい、河川環境を守るきっかけとすることを目的とする。
メーン事業として、調査員として五十嵐川をさかのぼるサケ「シロザケ」を釣ることができる釣獲調査を10月29日から12月11日まで渡瀬橋ー新大橋間の約3.7キロで行うことに。非常に難しいとされた関係機関からの認可を得ることができ、すでに県内外から数人の申し込みも受けていた。
しかし、先の激甚災害の指定を受けるほどの豪雨で大きな被害をうけたことから、この日午前10時から委員会を開き、サケ釣りの実施について協議。事務局から中止を提案、その理由を示し、出席した15人の委員すべてが提案通り中止に賛成した。
中止の主な理由は、7月29日の水害で釣り調査区間の高水敷はいたるところで損壊したり、土砂が大量に堆積したりし、三条地域振興局によると応急的な仮復旧工事を行うので一般の立ち入りが禁止になる。
場所を渡良瀬橋上流側に変更することも検討したが、上流部も被害は大きく適当な場所がない。県水産課の指導では、県外の人たちが気持ちよく参加できるような状況ではないとのことだった。
また、サケの増殖事業の継続のために、釣獲調査(サケ釣り)が認められているが、サケを増殖する五十嵐川漁協が大きな被害を受け、ことしはサケの孵化(ふか)増殖事業ができないことなどをあげた。
同漁協のホームページでは、中止を知らせるおわびを掲載する。すでに申し込みを受け付けた人には直接、わびる。さらに毎秋恒例の「鮭祭り」事業も中止とした。中止の決定について委員からは、「やむを得ないことで残念だが、来年できるように」との声が上がっていた。
五十嵐川漁協関係者によると、五十嵐川の渡良瀬橋上流にあるウライ(サケのやな)をかける場所が大破した。篭場地内の五十嵐川左岸側にあった同漁協の養殖施設も川の増水でポンプや採卵受精用の備品などすべてが流出。被害額は1,000万円を超え、年度内の復旧さえままならないという。
7年前の水害でも、同施設は大きな被害を受けた。「組合員の会費も増額するなどして7・13水害からの復旧、ようやくの復興へと努めてきた。難しい認可も下り、さあこれからだというところだったので、本当に残念だ」と肩を落とす委員もいた。