ことしで5年目になる加茂青年会議所(桑原宗巳理事長・会員46人)主催の小京都を楽しむ会「AKARIBA(あかりば) 2011」。9月24、25の2日間、加茂市・加茂山の夜をさまざまな明かりで彩るが、ことしの目玉、25日にイベント会場内の青海神社=加茂市加茂=であかりの結婚式「AKARIBA Wedding」を挙げるカップルが決まった。
応募のあった21組の中から選ばれたのは、加茂市の酒井裕行さん(26)と田上町に住む小田久美子さん(30)。坂井さんは十日町出身で地元茂野タンス店のたんす職人。小田さんは生まれも田上町で、新潟きもの学院で和裁の仕事に就く。
加茂市で毎年、桐たんすメーカーによる桐たんす展が開かれている。小田さんは3年前の同展で「女性による桐たんす製作体験」に参加したのがきっかけで、一昨年の同展では会場の受け付けを頼まれた。そこで搬出の作業に来た酒井さんが「きれいな人がいるな」と小田さんを見初めた。加茂で出会い、加茂が誇る伝統的工芸品「加茂桐箪笥」が縁で結ばれた、主役を務めるにふさわしい2人だ。
年内に結婚の考えだったが、経済的理由もあり、今回の企画がなければ挙式をあきらめていたかもしれないという。式場の青海神社は春は花見、夏は花火に祭りとデートコースだった。思い入れが深い場所での特別な結婚式。婚姻届もこの日に出し、一生の思い出にする。
5組にしぼられた最終選考の面接では「自分たちしかいないだろうという意気込みで臨みました」と酒井さん。「だんだん自覚が高まってきて、すごいことになっているという気がします」とちょっぴり興奮気味に笑顔。小田さんは「すてきなところを見ていただければと思います」とただただ恥じらう。
また、それぞれの職能を生かして酒井さんは桐たんすを、小田さんは着物を仕立ててイベント会場に展示したい考え。「北越の小京都」と呼ばれる加茂の和の情緒風情の発信するという、イベントの趣旨に打ってつけの和のカップルだ。
当日25日はもちろん「大安」。午後4時45分に新婦を人力車に乗せた行列が清雲亭「山重」=仲町=を出発。行列は神官、稚児、みこ、傘持ち、幼稚園児、笛方など約50人で編成し、仲町から本町へ進む。
途中、宮大門特設会場で新郎と出会う「出会い」の演出で、新郎新婦を紹介。今度は新郎も人力車に乗って穀町商店街を往復、青梅神社へ向かい、赤鳥居石畳会場で「祝い」のセレモニー。新郎新婦は人力車を降り、幼稚園児の歌、稚児の祝いの舞の披露の後、石段を上り、青梅神社で結婚の儀を行う。
野外ステージで1,200個のカップろうそくを並べてハートを描く「誓いのキャンドル点火」などを行い、8時半に終わる。
あかりの結婚式は、ことし初めての企画。「山重」は以前から青海神社へ人力車で向かって神前結婚式を行うブライダルを行っており、昨年の「AKARIBA」でたまたま、その結婚式と重なったのがきっかけで、ひらめいた。
カップルを公募したところ、市内より市外や県外からの応募の方が多く、予想を上回る21組もの応募があり、思い描いたような2人を選ぶことができた。桑原理事長は、「商店街活性化や観光化にもつなげたい」、「一丸となって加茂、田上の魅力発信のために取り組んでいる」と話し、「AKARIBA」に大きな期待を寄せている。