燕市は2日から19日まで燕市産業史料館で横山操初期作品展を開き、燕市の名誉市民で戦後を代表する日本画家、横山操(1920-73)の初期の作品、修復した本画の公開をメーンに展示している。
昨年開いた「デッサン展」の続編。横山操のおいの横山一男さん=埼玉県蓮田市=から、一昨年12月に市に寄付を受けた横山の作品を中心に20点を展示している。メーンは修復が必要だった5点の本画。横山が20歳で青龍展に初入選した「渡船場」をはじめ未発表の画題のない4点だ。
一辺が2メートルを超す大作もある。先着1,700人の入館者にこれらの本画をデザインしたポストカードをプレゼントしているが、大作の前に立つとポストカードからは感じられない迫力で作品が訴えかけてくる。
若いころに洋画から日本画に転向したこともあり、それまでの伝統的な日本画とは一線を画すジャンルの枠にとらわれない幅広い表現や技術が魅力だ。あわせて展示されている10点のデッサン画では、日本画よりも洋画のそれに近い。
和服を着て正座する女性を描いた作品は、同じサイズで描かれた下図も展示。下図をほぼそのまま本画に仕上げたのが分かるが、「渡船場」の本画とあわせて展示しているそのミニチュア版は対照的だ。ミニチュア版に描かれた人や黄色の舟、そして印象的な波紋が本画には描かれておらず、横山の意図を推し量って鑑賞してもおもしろい。
ほかに自画像と思われる作品や大山治郎コレクション美術館所蔵の横山の作品「金屏」、燕市所蔵で長善館に飾る「新雪富士」も展示。初日2日は平日にもかかわらず約50人が見学に訪れ、「最近、県央地域からはすごい絵描きが生まれてないね。とくに日本画では」と往時の地元日本画壇の隆盛を懐かしむ人もいた。
9月4日午後2時から同史料館で横山の本画の修復作業にあたった中野教授による作品解説会を開く。予約は不要で入館料だけで参加できる。会期中の休館日は5日と12日。入場料はおとな300円、子ども100円で土、日曜と祝日は、市内の小中学生と小学生の付き添いの保護者1人まで無料。