加茂青年会議所(桑原宗巳理事長・会員46人)は24、25の2日間、加茂市・加茂山公園周辺を会場に小京都を楽しむ会「AKARIBA(あかりば) 2011秋」を開いた。25日は夕方から初めてあかりの結婚式「AKARIBA Wedding」を行い、目抜き通りを行列し、加茂山中腹の青海神社で挙式する新郎新婦を祝福しようと大勢の見物客でにぎわった。
夜の加茂山を市民らが手づくりしたさまざまなあかりで彩ることしで5年目となったイベント。市民の憩いの場の加茂山が、あかりのテーマパークに生まれ変わった。
加茂山公園駐車場の特設会場では、AKARIBA横町が店開き。3万枚の紙を使って市民が作った「参満人あかり」、短冊に願いごとを書いてもらうあかりのトンネル「雪椿隧道(ずいどう)」、そして野外ステージには1,200個のキャンドルをハート型に並べてともす「ロマンチックステージ 恋するAKARIBA」のほか、ワークショップも行った。
ことしの目玉は、25日に行ったあかりの結婚式「AKARIBA Wedding」。イベントの一環で挙式するカップルを公募した。応募のあった21組から、十日町市出身で加茂市に住むたんす職人の酒井裕行さん(26)と生まれも育ちも田上町で和裁の仕事に就く小田久美子さん(30)のカップルを選んだ。2人は加茂市で開かれている桐たんす展で出会った「AKARIBA」にふさわしいカップルだ。
絶好の秋晴れに恵まれ、清雲亭「山重」=仲町=から白むくの小田さんを人力車に乗せた行列が出発した。行列は神官、稚児、みこ、傘持ち、幼稚園児、笛方など約50人で編成。車両通行止めにした目抜き通りを雅やかに進んだ。
青海神社参道の先にある宮大門の交差点で待ち構えた酒井さんが行列を迎え、2人の「出会い」を演出。2人のなれそめなどを紹介、インタビューしたあと、今度は人力車に2人を乗せて行列を進めた。
加茂山への入り口の赤鳥居をくぐった石畳会場で「祝い」のセレモニー。幼稚園児の歌と稚児の祝いの舞を披露して2人を祝福。この日に向けて酒井さんが製作した桐たんすと、小田さんが仕立てた和服も展示した。
参道を上がり、日が沈んで間もなく青海神社拝殿で結婚の儀。同神社はふだんから結婚式を行っているが、夜の結婚式は珍しい。拝殿の前には松明をともし、厳かに三三九度や指輪の交換、誓いの言葉と儀式が続いた。
その後も1,200ものキャンドルがともる野外ステージで、キャンドルサービスの趣で「誓いのキャンドル点火」。あかりに彩られた加茂山を下りながら行列して最後は宮大門へ。新郎新婦のあいさつのあと、サプライズで加茂山で花火を打ち上げて、午後5時前から9時まで長時間に渡る結婚式を無事に終わった。
清雲亭「山重」では、人力車を使った結婚式のプランを用意しており、青海神社は稚児行列を行う行事がある。それと「AKARIBA」を組み合わせてひとつのイベントにまとめたので、初めてとは思えない完成度の高さだった。
行列が宮大門へ到着するときや結婚の儀が始まるとき、誓いのキャンドル点火などのタイミングに合わせて見物に訪れる人が多く、どのシーンも数百人の見物客でにぎわった。新郎新婦が姿を現すと自然と拍手が起こり、「おめでとう!」の祝福が飛び交い、花嫁に「きれいらねー」とうっとりだった。
行列の始まりでは、新郎新婦に緊張の表情がありあり。新婦の小田さんの方が年上だが、不安そうな表情になってはしきりに酒井さんの顔に視線を向けていた。
ふたりはこの日、イベントに先だって市役所で婚姻届を提出したが、式を終わって酒井さんは、「形があった方が自分のためになるというか、自分の気持ちが入りますね。ちゃんとしなきゃなと」。小田さんは奥さんとの呼びかけに「奥さんになっちゃった」と照れ、「ふたりで助け合っていきたいと思います」と話していた。