化け茶釜の伝説でも知られる三条市新屋、曹洞宗熊野山「長見寺」(五十嵐道雄住職)は30日、同寺で初めての手作り市「茶がま市」を開き、集落から離れた静かな寺は大勢の来場者でごった返した。
県内各地から手作り品を中心に飲食を含む約20店が出店したほか、旬の野菜や果物も販売した。本堂には布小物、刺しゅう、陶芸、雑貨、古道具、あみぐるみなどがぎっしり並んだ。本堂は正面にガラスを広くとったユニークでちょっとレトロな建築様式。「市」の雰囲気の盛り上げにも一役買った。
ふだん、初めて同寺を訪れる人はあまりにも民家から遠く離れているため、途中で引き返してしまうこともあるくらい静かな場所だが、30歳代から40歳代の女性を中心に朝から続々と来場し、祭りでもあるかのようなにぎわいに。傘がいらないていどの弱い雨が時々降って肌寒かったが、来場者の出足にはまったく影響しなかったようだ。
本堂の玄関はくつの置き場に困るほどで、本堂はまるで雑踏のよう。パンを180個販売した人はわずか30分で完売し、飛ぶような売れ行きに驚くやらパンを求めに来た人に申し訳ないやら。飲食関係は完売が相次いだ。
半年間、準備を進めてきた五十嵐住職の妻、睦子さん(44)は、1日限りの開催で来場者が集中したと思われ、「やっぱり2日間にしなければならなかったのかもしれませんね」と、笑顔でうれしい悲鳴だった。
周辺の山々は紅葉に染まり始めたところ。秋の下田郷へのドライブも兼ねて訪れた人たちは、混雑したなかでもじっくりと品定めしながらも、ほかの人に先に買われないようにほしくなった商品は即決でゲットしていた。