燕市は6日、燕市文化会館で男女共同参画社会づくりの推進の一環で、「つばめ『女と男(ひととひと)』ふれあいフェスタ2011」を開き、タレントで山形弁研究家のダニエル・カールさんによる講演会をはじめ、ワークショップ、即売会、Smile Family作品展が行われて約350人が来場した。
午後1時から隣接する燕市中央公民館でワークショップのエニアグラム講座と親業ミニ講座が開かれ、1時半から文化会館のホワイエで即売会、2階展示室でSmile Family作品展、そして午後3時から文化会館大ホールで講演会が行った。
Smile Family作品展は今回、初めて行い、市内の子どもたちが家族の絆をテーマに描いた作品約180点を一堂に展示。ホワイエには市社会福祉協議会が草花の苗、つばめ生活学校が不要品、「つばくろの里」と骨髄バンク「いのちのあさがお」は手芸品、JA越後中央女性部燕支部が食品などを販売してそれぞれの組織を紹介し、まつりのようにぎやかなムードだった。
メーンはもちろん講演会だ。テーマは「がんばっぺ、オラの大好きな日本〜未来へつなぐ家族の絆」。鈴木力市長のあいさつのあと演壇に立ったカールさんは、「どうも皆さん、こんにちやっす−!とおどけたようなあいさつで始めた。グレースーツで裏地は紫、ネクタイも紫で、コーディネートが意図的かどうかはわからないが、おしゃれな印象だ。「燕みたいないい町にきたらゆっくり、のんびり、一週間くらい過ごしたいんですが」とリップサービスした。
カールさんはすぐにマイクスタンドからマイクを外し、ハンドマイクにして演壇の町に全身を使って感情を表現し、ホワイトボードに漢字を書いて精神的にはステージの下に下りて来場者とコミュニケーションした。
自分が死を迎える場面を想像すると、死の間際に、もっと働けば良かったとかもっと稼げば良かったという人はいない。「それが想像できたら今のうちから(人生を)やり直すんだ」とポジティブな考え方を示し、具体的には人生に優先順位をつけること、大切なことに時間を割くためのタイムマネージメントを求めた。
今は東京で翻訳、通訳サービス会社を経営する社長でもあることから、後半は日本語のユニークさについて話し、自身の分析を披露。日本語のように主語が省略されるのは世界的に珍しく、これは互いにわかっていることは言わないから。「言わなくてもわかるべ」と。
婉曲表現が多い、「まあ」「さあ」と英語にできない日本語がある、ほめ言葉が宙に浮いているのはだめで何かを言って追い返さなければならないなど、日本人にとっては当たり前の会話を外国人からの視点でカールさんはさまざまな問いや解釈を示した。
「美徳は学校では教えない。家族が教えるもの」、愚妻や愚息の言葉に「好きだからけなせる」、「言われてる人もばかにされたとは思っていない」、しかしジェネレーションギャップで通じない場合があるので「けなし過ぎると本当に傷付ける場合がある」と注意した。
いずれにしろ日本語の独特な表現はいい、悪いではなく文化の違いとしたうえで、「家族の絆を深めるために大事な話を時々しなければならない」、「謙そんも調整して、いつも隠すのではなく時々、大っぴらに気持ちを見せていいのでは」と感情をストレートに表現して家族とコミュニケーションをとるよう勧めた。
テレビで見る通りカールさんは山形弁を次々と繰り出し、笑いもいっぱい。講演の途中でもカールさんの考えに賛同する拍手が響くことも何度かあり、最後は割れんばかりの拍手だった。