7月の記録的豪雨で床上浸水して以来、休業して復旧作業を進めていた三条市南五百川、八木ヶ鼻温泉「いい湯らてい」(代表取締役・国定勇人三条市長)は、11日の営業再開を前に7、8の2日間、プレオープンとして内覧会を開き、1日70人の「いい湯らてい会員」を招待し、グレードアップしてリニューアルオープンする「いい湯らてい」の魅力を一足早く味わってもらっている。
招待を会員に募ったところ、1,500人もの応募があった。当初は2日間で60人を招待の予定したが、あまりの応募の多さに1日70人と2倍以上に招待客を増やし、抽選で招待客を決めた。
斉藤詳子支配人はロビーで従業員と整列し、招待客に対して「本当にこの日が来るの私たち、待っておりました」。従業員がひとりも欠けずにこの日が迎えられたことを喜んだ。
11月11日午前11時11分11秒と決めたことについて、ことしが開館11周年であること、水害で建物の社員も、そして客や地域と再び一から始めようと「1」にこだわったと説明。「これからも一生懸命、皆さまの期待に応えられるよう頑張ってまいります」とあいさつしたあと、従業員が館内を案内したあと、昼食をふるまった。
「いい湯らてい」の大きな魅力は奇勝八木ヶ鼻とその下を流れる五十嵐川を借景にした絶好のロケーションにあるが、この夏の記録的豪雨では逆にそれが災いした。五十嵐川があふれて床上浸水し、建物の周囲をぐるりと川の水に囲み、まるで湖上のホテルのようになった。
ボイラーなど主要設備が壊れ、東日本大震災の影響もあって修理部品の手配などが進まず、ようやく105日ぶりの11日、営業を再開できることになった。
豪雨前にもプチリニューアルを行ったばかりだったが、今回も復旧だけにとどめず、リニューアルを図った。内装は外観や周辺の自然環境との調和を図って茶と白に統一した。畳敷きだった「レストラン はくちょう」は、一部にテーブルとイス席を導入。ロビーの売店では、市民から古民具の寄付を募って寄せられたたんすやうすを商品の陳列台に活用。古さを生かしておしゃれな空間づくりに成功した。
目玉は「お食事処ふるさと」の「Gozzo Latte(ゴッツォ ラーテ)への模様替え。地元食材を使ったコース料理を提供する欧風レストランにリニューアルした。
壁はシックな石壁調で、入り口の店名のサイン表示は、三条市・三条特殊鋳工所が製作した鋳造。カトラリーの金属洋食器は、ノーベル賞授賞式の晩餐会に使用される高級カトラリーを製造する燕市・山崎金属工業から寄付を受けた。
メニューはコースメニューだけで「パスタコースメニュー」(1,500円)、「ミディアムコースメニュー」(2,000円)、「プレミアムコースメニュー」(2,500円)の3種類となっている。
11日から13日までの3日間は、オープンイベントや水害復興祈願祭が盛りだくさんだ。11日は午前10時45分からオープンセレモニー、山崎金属工業の山崎悦次社長から三条市へ洋食器の贈呈式を行い、11時11分11秒にグランドオープン。11時15分ころから森町小学校吹奏楽部による演奏会を行い、夜は建物全体をライトアップする。
翌12日は午前10時営業開始で、昼は三条市環境マスコットキャラクター「エコちゃんサンちゃん」が来館し、子どもにはグッズのプレゼントも。夜はライトアップも行う。
また、12、13日と駐車場から館内に通じる渡り廊下に「水害復興祈願灯篭」をともす。灯ろうに巻いた紙には下田地区内の保育園児がぬり絵した。
13日は水害復興祈願祭を行う。午前10時に営業を開始し、10時半から11時までヒップホップ&よさこい。そして11時から夏まつりとともに中止になった雨生の大蛇行列を披露。さらに11時半から新屋神楽、午後1時から長沢神楽、2時から遅場神楽、3時から五十嵐神社神楽を舞う。
ほかにもグレープフルーツ、レモン、オレンジを浮かべたフルーツ風呂が登場。11日から13日までの3日間は女性限定でバラ風呂も。さらに地元の野菜組合は同じ3日間、感謝祭を開き、新鮮な地元野菜を手ごろ価格で提供し、ふかしイモのサービスも行う。