国定勇人市長は10日行った定例記者会見で、この日夕方に野田佳彦首相が環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を表明すると見られたことから、報道関係者から国定市長にTPPに関する質問があり、国定市長は条件付きで交渉参加に賛成の立場を明らかにした。
ただ、野田首相の発表は翌11日に持ち越しとなったようだ。国定市長は、基本的に国政レベルの話なので、「我々があまりとやかくいうような問題ではない」、「わたし自身がどう思っているのかっていうおたずねであれば」と前置きしたうえで、結論から言えば「条件付きでTPPの議論には参画をしていくべき」とした。
とりわけ農業、医療分野で反対論が叫ばれており、その不安をどう解消するかが条件としていちばん大きい。例えば農業政策にはいろんな観点あるが、TPP参加で国内の農業基盤が大きく損失したり、傷がついたりはあってはならない。
ただ、TPP参加と国内の農業基盤を損なうことは、必ずしもトレードオフの関係にはなく、欧米で農業に対する保護政策が徹底しているうように、日本でも所得政策か価格政策か、あるいはその両方をとるのか、手法は政府で検討してもらわなければならないが、農業生産者や農作物に対する施策をしっかりと充実させるのが前提条件となる。
政府もTPP参加の意向を示すなら多くの不安をかかえる農業生産者にどうやって農業基盤を維持、存続していくのかを政策面でしっかり見せることが求められる。総論としてはマーケットを確保していく、TPPにおける貿易量の割合は91%で日米間の戦略的経済協定のようなものだが、将来的にTPPの輪が広がる可能性があるなら、早めにマーケット・インをやっていかなければならない。
三条についても世の中で言われていることが起こる。ものづくりの町として町の基盤をつくっているが、製造業にとってはややプラスだが、農業にはマイナスの影響が出てくる。だからといってゼロか百かという議論になるのではなく、一定の手当をすれば一定のいい影響が出てくる可能性があり、TPP参加で「マイナス面を払拭しながらプラス面をのばしていく検討をすべき」。
農業では知事がコメについて関税撤廃の例外措置として行うべきと言うが、それも農業基盤を確保するための選択肢のツールとしては、大いに現実味を帯びた議論として成り立ち得る。
国民的な議論はなされていない。外交のタイミングを逸するべきではない。国民的議論というより現政府にあえて注文するなら、不安があるから反対と言われている。その本質は、農業分野なら農業基盤がTPP参加で損なわれる。そこに反対する人の意見は集約される。農業基盤を守るのはTPPに参加するしないと別次元で成り立つ理屈と思う。国内政策でも代替できる。
所得政策の充実強化、価格政策を復活させるという組み合わせでも十分成り立つ。コメだけはどうしても守る、所得政策と価格政策で十分でないなら、知事が言うような例外措置の断固たる主張もある。
基盤を守るために政府は、TPP参加を前提に、ここだけは国内政策として担保するんだということを言わないと、いつまでも国民的議論にならない。そういう政策の担保を早く打ち出すことにより、百かゼロかではない両方のいいとこ取りの道が切り開かれる。早く生産者に安心してもらえる政策を提供する中味を提供することが肝要と思う。