9日、発表されたGOOD DESIGN AWARD 2011(2011年度グッドデザイン賞)の特別賞各賞で、新潟県内は三条市に本社を置く3社が受賞。本格的な家庭菜園道具「デザイン農具 踏み鋤(ふみすき)」で中小企業庁長官賞を受賞した鍬(くわ)のメーカー(株)相田合同工場=三条市田島1=は初出展で初受賞だった。
2011年度グッドデザイン賞は、3,162件の審査対象から審査して10月3日に1,112件のグッドデザイン賞受賞を発表。そのなかから、グッドデザイン大賞1、グッドデザイン金賞12、サステナブルデザイン賞5、中小企業庁長官賞8、日本商工会議所会頭賞1、ロングライフデザイン賞18の計45件が決まり、うち、3件が三条市の企業。燕三条地域からの特別賞受賞は2007年度の(株)諏訪田製作所=三条市高安寺=のつめ切りが中小企業庁長官賞を受賞して以来4年ぶりだった。
今年度の受賞は、中小企業の受賞対象の中で特に優れているものに贈られる「中小企業庁長官賞」を、(株)相田合同工場の「踏み鋤」と(株)スノーピーク=本社・三条市中野原=が、今春、下田地区に移転新築した「SnouPeakHeadquarters[株式会社スノーピーク本社]が受賞した。
長く支持され愛用されているデザインに対して贈られる「ロングライフデザイン賞」を(株)コロナ=本社・三条市東新保=の石油ストーブ「SL型石油ストーブ」が受賞した。
今回が初エントリーだった相田合同工場の相田聡社長は、特別賞受賞に「めんくらってます」と話す一方、喜びも大きい。受賞製品は、昨年、同社創立80周年を機に挑戦したNICO(にいがた産業創造機構)の「100年物語」エントリーのため誕生した製品で、相田社長はじめ同社の職人や流通の女性社員などが全社的にかかわった。
これまで同社が扱うくわなどの農具は、あの地域のあの人が使うものと限定的だが、今回の取り組みでは本格的な家庭菜園をする一般ユーザーを視野に不特定多数の人に道具としての力を感じてもらおうと企画した。持った瞬間に機能がわかるデザイン、たくさんある商品のなかでふと手に取ってもらえるものをと試行錯誤を重ねた。
アドバイスをもらったコーディネーターの建築デザイナーから、デザインの根本や同社の取り組み姿勢について歯に衣着せぬ言葉や問いかけに大きな衝撃を受けながら、それぞれが考え自らの新しい発想をひねり出し、使う人の立場にたったアイデアを形にしていくという苦労を重ねて生まれた。
9日に東京都・東京ミッドタウンで行われた表彰式に、相田社長と職人、流通担当の女性社員と3人で出席。相田社長は、縁遠い世界だと思っていたが、翌朝の朝礼で同席の社員が「もう一度行きたいという気持ちになった」と話し、全員のモチベーションが上がるいい機会になった。
さらに、同社の鍬がスクリーンに映されたときに会場内がざわめいたと話し、「あの東京ミッドタウンに鍬が(展示されて)あるんですよ」。せっかくの機会だからと、希望するほかの社員とともに11日に再び展示会場を訪れるという。