27日まで三条市史民俗産業資料館で「謎の画人 中村芳渓」、中村芳渓の作品を展示するとともに中村芳渓の謎を知る人からの情報を求めている (2011.11.11)

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三条市歴史民俗産業資料館では、8日から27日まで同資料館で「謎の画人 中村芳渓」を開いており、明治時代に三条で活躍し、短命だったこともあってほとんどが記録が残っていない画人、中村芳渓(1870-1908)の作品を展示してその謎に迫るとともに、市民からの中村芳渓に関する情報を待っている。

27日まで三条市歴史民俗産業資料館で開かれている「謎の画人 中村芳渓」
27日まで三条市歴史民俗産業資料館で開かれている「謎の画人 中村芳渓」

展示作品は10点。「観音霊験図」は中村芳渓の代表作で、観音経に取材して観音菩薩の霊験や功徳を濃密な色彩で描いたもので、全18幅の軸のうち6幅を展示。来迎寺=井栗=が所蔵し、毎年1月18日の法要でほかの寺宝とともに公開している。

そして目を引くのが六曲一双の「能楽貼り交ぜ屏風」。各扇に2枚ずつ、装束の柄を細部まで描き込み、構図の巧みさや色彩の調和も完成度が高い力作で、一つひとつは小品ながら相当の労力を費やしたと想像できる。

細密に描かれた能楽の装束
細密に描かれた能楽の装束

「外山丈芭肖像」の軸では、三条出身の俳人、外山丈芭を描き、その上に外山丈芭が自詠の句5首を書いている。ほかに展示している作品と違って陰影の描写などが日本画の技術とは異なり、西洋絵画の映画を感じさせる別人のような印象の作品だ。

さらに「新発田第十六聯隊之図」は版画で、髪の毛より細いくらいの線で濃淡を表現。ほかの作品でも筆の勢いや墨のにじみを生かすなどまったく違った作風を見せる。その幅広い表現方法や多彩な技術から注文を受けて創作するような職業画家であったのではと考えられる。

外山丈芭肖像画では現代的な陰影の描写を見せる
外山丈芭肖像画では現代的な陰影の描写を見せる

中村芳渓は日吉町に生まれで本名は喜八、子どもは2人。鉄道のない三国峠を越えて東京で学び、日吉町で着物の洗い張り屋、今で言う専門クリーニング店を営んだ。1900年の皇太子ご成婚で県内から献上された約60点にまじり、燕・玉川堂の鎚起銅器とともに自筆の「蓬莱山之図」を献上している。

中村芳渓についてわかっていることは、ほぼこれですべて。画と洗い張り屋のどっちが主で、従だったかもわかっておらず、この展示を機会に市民から中村芳渓に関する情報が寄せられるのではと期待している。

休館日は月曜と月末日で、午前9時から午後5時まで開館、入館無料。問い合わせや中村芳渓に関する資料は同資料館(電話:0256-33-4446)へ。

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