東日本大震災に伴って三条市が設置した避難所のひとつ、勤労青少年ホーム「ソレイユ三条」に避難した福島県の人たちと交流を続ける地元老人クラブ「熟年いこいの会」が17日、国定勇人三条市長を表敬訪問し、福島県南相馬市を訪れて三条市に避難していた人たちと再会を報告し、市長へと預かった写真とともに元気でいることや市長への感謝などが託された言葉を伝えた。
午前9時に同クラブの上石貞夫会長(78)が市役所を訪れた。同会は3月16日の避難所開設から5月28日の閉鎖まで2か月余り、避難所の人たちともちつきをしたり、茶会をしたりと交流してきずなを深め、避難所閉鎖後も連絡をとりあっている。ことしのクラブの研修流行は、福島に帰郷した人たちと再会しようと6日、25人が参加して南相馬市を訪れた。
再会の場所は、ソレイユ三条の避難所でラーメンをふるまった小高区の有名ラーメン店「双葉食堂」の新店舗。元の店舗は原発から20キロ圏内で立ち入り禁止区域なので戻られず、鹿島区のプレハブ造りの西町仮設店舗で営業を再開した。その店舗にソレイユ三条に避難していた12人ほどを含む南相馬市の人たちが迎えてくれて再会し、三条市でもふるまってくれたラーメンを再び味わった。
出発前に上石会長が依頼して市長から預かったメッセージDVDを店内のテレビで映すと、テレビ画面の市長に向かって「ありがとう、ありがとう」、「元気でやってるから心配しないで!」と笑顔で答えていたという。
再会した福島の人たちからは、三条に2か月間おいてもらったことが出発点となり頑張っている、三条の皆さん安心してくださいなど、感謝と元気でやっていることなどの言葉、さらに国定市長にとても感謝し、メッセージは感動を与えたと話し、「みんな口々に、市長さんによろしく言ってくれと頼まれた」と上石会長が伝えた。
同クラブとのパイプ役は、ソレイユ三条の避難所で班長だった横山邦彦さん。横山さんは自宅を津波で失い「わたしには何もない」と言っていたが、避難所ではまとめ役を務めた。国定市長も避難していた人から、「となりの家の人が流されていくのを見た」と聞いたと言い、「言葉で大変、大変というが、よく耐えながら気持ちを前向きにもっている。つくづくすごいなと思う」と言葉を詰まらせ、上石会長も「間一髪で生死を分ける状況を味わってきた。南相馬市の人はきっついですよ」と話した。
双葉食堂で撮影した記念写真を贈られた国定市長は、「すごいうれしい、みんな元気そうで」と、一人ひとりの顔を見るように、時間をかけて写真を見ていた。上石会長の話を聞きながら、たびたび目頭を押さえていた国定市長は、「なんか行きたくなってきたな」、「これはやっぱりらーめん食いに行かなきゃだな」と話した。
熟年いこいの会は、平成16年の7・13水害で大きな被害を受けたことがきっかけで地域へお返しがしたいという思いで南四日町1、2丁目のメンバーを中心に平成17年4月13日に設立した。会員は105人。
上石会長は、今回も7・13水害の最大の恩返しという思いでさまざまな活動をしたが、今回の旅行も「友達に会いに行こう」という気持ちだったと言う。「せっかくできたきずなを大切にしていきたい。自分たちには支え合いしかできないが、心の支えあいになるようにしていきたい」と、これからも交流を続けていきたいと話した。次は、「サクラの咲くころ、どこかで落ち合おう」と約束したという。