燕市の洋画家、日展会友堀研一さん(65)=春日町=が10月の第43回日展で特選に輝いたことを記念する作品展示と解説会が12月4日、燕市吉田公民館で開かれる。
作品展示は午前9時から午後6時までで、特選受賞作『小休止(パイプの煙)』は巡回展で全国の会場を回っているので展示できないが、展示作品は堀さんに任せており、大作7、8点の展示になりそうだ。加えて午後1時半から1時間ほど堀さんが作品解説を行う。
堀さんの昭和21年に旧吉田町で生まれた。父は書家で知られた堀城水さん。理容学校を卒業し、25歳で理容店を開業し、今も経営する。大学などで専門的に美術を学ぶことなく20歳代後半から独学で店に飾る絵を自分で描こうと洋画を始めた。
中央の美術団体、光風会に所属して腕を磨いた。1987年に県展で最高賞の県展賞を受賞。翌88年には芸展会員賞を受賞、県展は無鑑査となり、日展に初入選した。90年に光風会会友、96年に同会員、2003年に日展会友と、本県を代表する洋画家のひとりとなっている。
特選受賞作は今回も長年、モチーフにしているピエロの人形をメーンにした作品で、日展尾の授賞理由は「人形にレインコート、砂時計等、使い古された愛着のある物ばかりをアトリエの一隅に配置し、くり返し見て描くことにより深味のある表現になっている。今回一段と完成度の高さが見られ、今後の展開が楽しみ。」とある。
今回の作品展示は、地元の堀さん同級生が実行委員会(諸橋久幸代表)を組織して主催。地元の吉田地区まちづくり協議会、吉田南地区協議会も後援する。
実行委員会の幹事は、自治会長も務める斉藤光雄さん(66)=吉田大保町=は、作品展示を企画した理由を「吉田の人があんまり(堀さんを)知らないから、こんちくしょうと思って」と笑って話す。吉田小、吉田中で堀さんと同学年だった。
当時は「そんなにずばぬけた才能があった記憶はありませんね」と言うが、大学などで美術を学術的に学んでいないにもかかわらず、アマチュアから中央で認められるまでに登り詰め、「それが特筆すべきことで、いちばんの誇りじゃないかと思います」。
地元の吉田地区では美術に対する関心が低く、とくに絵画では堀さんが久しぶりに吉田地区から名をなした作家なのにあまり知られていないことを残念がっている。今回の作品展示が堀さんへの評価の高まりにつながる起爆剤になることも期待している。
しかし、堀さんを祭り上げるというのではなく、作品展示でも「いすやテーブルも並べて、コーヒーを飲んで彼と話したり、来場者同士で話してふれあうような展示会にしたい」と話している。急きょ、企画したために1日限りの作品展示となるが、大勢の来場を待っている。