現三条市立一ノ木戸小学校の卒業生であり、燕市南1、(株)曙産業会長の大山治郎さん(79)が25日、自らの波乱の半生をつづった著書『試練も恵なり ものづくり夢づくり』45冊を子どもたちのために役立ててもらえればと三条市に寄付した。
大山さんは午前9時に市役所を訪れ、国定勇人市長に同書45冊の目録を手渡した。ことし8月に新潟日報事業社から出版された。A5判、300ページで1,470円。
大山さんは昭和7年生まれ。昭和13年12月、大阪から雪の降る三条に着いたのがこの地での始まりで、母と離別後、父とも死別。一日も早い自立を思いながら残された幼い弟と妹との生活、多くの人との出会い、地域や友人の支えなどを記した。
大山さんは、これまでの人生体験を講演や執筆というかたちで1,000回以上行っており、ためておいたそれらの資料などをもとに2年ほどかけてまとめた。すでに燕市にも30冊を寄付している。
懇談の席で、同席した国定市長、松永悦夫教育長らが曙産業の大発明となったマジックしゃもじを生み出した大山さんの企業経営の手腕はもちろん、燕市議会議長を務め、さらに美術、スポーツ、文化とさまざまな分野で見識の深さに感心した。
大山さんは、「出会うものすべてが私の師である。スポーツ、文化、出会ったものに真剣に取り組む。私は何でもわからない、感性がないんだ、謙虚であれと、白紙の状態で取り組むから、逆に吸収できる」と話していた。三条市では、各小中学校や図書館に同書を配置する。