燕市は、9月に新潟大学災害・復興科学研究所と「防災まちづくりに関する協定」を締結したのに伴って11月3日に燕市地域防災シンポジウムを開いたのに続き、防災関連の事業として27日午前9時から分水地区・分水小学校区をモデル地区に初めて新潟大学と連携した燕市避難訓練を行った。
避難訓練の対象にした分水地区は、先の新潟・福島豪雨で信濃川の水があふれ、2世帯に避難指示も出している。今回も大河津分水の河川水位が避難判断水位を超え、分水小学校区に避難勧告を発令。市は分水庁舎に本部を設置し、自治会長に避難勧告を連絡し、各自治会は必要に応じて一次避難所へ避難したあと、学校区内の11の避難所にそれぞれ避難した。
その後、訓練に参加した約380人が分水公民館に集合し、消防本部職員からAED講習会を受けたあと、訓練に立ち会った新潟大学災害・復興科学研究所の福留邦洋特任准教授をまじえてハザードマップを基にした解説、問題点や改善点などの意見交換、市からは防災対策の取り組みの紹介や講評も行った。
燕市は大河津分水完成以降、水害など大規模災害に遭遇していながい、先の豪雨や東日本大震災による巨大津波の発生で、行政の第一義である生命と財産を守るという観点からも、防災に強い町づくりが急務になっている。
大規模災害なかったのは幸いだった反面、行政の防災対策は遅れ、市民の防災意識が低かったのも実情で、そのことは訓練にも現れた。鈴木力市長は分水庁舎に詰め、市職員は電話で自治会長に避難を呼びかけたり、防災無線で避難勧告の放送を手配したり、防災つばめ〜ルを発信したりと慌ただしかったが、鈴木市長は何もすることがなく、ぽつんと立ったまま。たまらず「何も報告がないんだけど…」とこぼした。
訓練で段取りを知っていて電話を待たずに避難したのか、いくら電話しても電話に出ない自治会長宅もあったが、それは訓練ということでご愛敬。分水公民館には要介護者を想定してリヤカーでもお年寄りを運んだ。
避難訓練そのものは45分間ていどでしかなかったが、分水公民館に集まった市民にあいさつした鈴木市長は「わたし自身、いろいろな気づきを与えてくれた訓練でした」と綿密に振り返るまでもなく数多くの問題点や改善点が浮き彫りになり、成果は大きかったようだ。