東日本大震災の被災地から今も市内で300人近くが避難生活を送る三条市で27日、芋煮会が開かれ、避難している約100人が参加して東北地方ではおなじみの芋煮を味わい、交流してもらった。
三条市は8月末で避難所を閉鎖したが、27日現在で福島県の南相馬市を中心に287人が市内の雇用促進住宅などで避難生活を送っている。市は総合福祉センターに避難者の交流の場「ひばり」を運営しているが、芋煮を囲んで情報交換や近況報告し、食べながらの交流で不安の解消や人と人とのつながりを深めてもらおうと、三条市総合福祉センターを会場に初めて芋煮会を開いた。
せっかく大勢が集まる機会なので、芋煮会を前に被災地の現状などの説明・相談会も開き、被災地の福島県・南相馬市、浪江町、富岡町、大熊町から職員を派遣してもらい、環境放射線モニタリング結果、復興計画、除染計画などを説明してから芋煮会に移った。
芋煮の調理は前日の仕込みからほとんどを避難している人たちだけで行った。慣れているようで大鍋での調理にもかかわらず市職員が手伝う必要もなく、三条名物の車麩(くるまふ)も具に利用した三条風芋煮が完成。好天に恵まれたので駐車場にブルーシートを広げて、国定勇人市長も一緒に青空の下で鍋を囲んだ。
3月17日から9月末まで三条市へ派遣されていた南相馬市職員の遠藤雄二さん(39)も説明で参加した。遠藤さんも被災者で、妻子を三条市に残してスポーツ振興課で勤務している。
3人の子どものうち末っ子の次女は7歳。「今回は七五三ができないかと思いましたけど、無事にできました」と顔をほころばせた。八幡宮で参拝し、記念撮影もした。
地元は今も車が少なく、歩いている人を見かけることも少ないが、お年寄りは震災前と同じように生活する人が多いが、若い人や子どもの姿はあまり見かけない。地元へ戻ろうと思っても会社が休業していたり、逆に会社が業務を再開しようにも社員が戻ってこなかったりの悪循環もあるが、「除染ができれば元の職に戻りたいという人が多いので、除染がうまくいけば復興も進むのでは」と除染の成果に期待していた。
また、国定市長は28日更新したブログ「三条市長日記」で、「楽しそうな芋煮会となりましたが、話を伺ってみると、やはり不安感、孤独感のようなものは、思っていた以上に深刻なものでした。その1つひとつに応えられる術を持ち合わしていないところに、もどかしさを感じますが、何とか、応えていきたいと思います。」と書いている。