(株)諏訪田製作所(小林知行社長・三条市高安寺)は25日、工場見学が自由にできるようにしたほか、展示ギャラリーやショップも併設した 「SUWADA OPEN FACTOTRY」をオープンした。
工場見学では、高級刃物鋼を1,000度以上の高熱で熱して400トンの力でたたき、鍛造の工程から研磨、研削、刃付けまで熟練した職人の作業風景のすべて、「SUWADA」製品が生まれる現場を見ることができる。
オープンファクトリーの入口の展示ギャラリーでは、さまざまな製品を通して「歴史と新たな挑戦」をアピールする。
「SUWADA」商品の紹介
「SUWADA」商品の紹介
ファクトリーショップでは、「SUWADA」の爪切りやクリの皮をむく「くりくり坊主」、格安なアウトレットやセール品、同社がセレクトしたオリジナルアイテムも販売する。
オリジナルアイテムは、ボタン以外は社員の制服と同じ仕様のジャケットをはじめ、エプロンや鉛筆など、エコバッグ、てぬぐいなどオープンファクトリー限定のグッズが並ぶ。これらのアイテムも増やしていく。購入した爪切りの名入れもショップでできる。
「SUWADA」商品の紹介
SUWADA OPENFACTORYのマドレーヌ
ショップの一角のカフェカウンターでは、イタリア製のエスプレッソマシンで本格エスプレッソを提供する。小林社長が昔、都内のイタリア料理店でアルバイトをしたときに店にあったのと同じ手動のマシンで、昔ながらのエスプレッソを味わえる。あわせて同社のロゴマークで日本語にしかない句読点をイメージする「点と丸」とオープンファクトリーのロゴマーク入りのマドレーヌも販売している。
同社では今後、展示ギャラリーの入れ替えを行ったり、オープンファクトリーでしか買えない限定品やアウトレット品の提供など販売にも変化をつけ、何度も足を運んでもらえるオープンファクトリーにしたいという。
SUWADA OPENFACTORYのトートバッグ
SUWADA OPENFACTORYのステーショナリー
訪れた人を驚かせる黒で統一したファクトリーについて小林社長は、黒は「ファッションではなく、僕らの色」で、「鍛冶屋の本質的な色」と言う。
鍛冶は火の色を見ながらの仕事なので作業場は暗い。火をおこす炭は黒、火は赤、灰は白。くろがねを赤い火の中で鍛え、磨けば銀(白)に変わる。同社のさまざまなシーンで使われる黒は、モノづくりの原点であり、その精神が込められている。
本格エスプレッソを提供するコーナー
黒へのこだわりを話す小林社長
ショップで目を引く「抜バリ」という鍛造片の再利用をした大型のシャンデリアをはじめドアノブなどファクトリー内のあちこちに使われている。「供養みたいなもの」と小林社長。ふつうはスクラップで捨てる部分だが、もったいないと言われたり、工場見学の小学生に「リサイクルはどうしてるんですか?」と質問されることもある。再利用は「(鍛造の工程で出る)これのおかげでいいものができる」と感謝の気持ちも込めた同社の回答だ。
ほかにも、ギャラリーの展示やその手法など、今までの工場見学とはまったく異なったアプローチを見せるが、小林社長は「鍛冶屋のシーンを見せるだけ、エンターテイメントなんてない」と言い切る。特別なことをするのではなく、ふだんの姿のなかに「SUWADA」の源泉を感じとってもらう。