燕市産業史料館では、2日から23日まで「木目金展ー伝統を受け継ぐ者たち」を開き、昨年、金工で人間国宝となった燕市・玉川堂の玉川宣夫さん(69)が究めた(もくめがね)技法を玉川さんとその伝承者3人の作品を展示して紹介している。
玉川宣夫さんの作品13点とその玉川堂の弟子、玉川達士さんと須佐真さんとの5点ずつ、さらに独自の技法を追求する燕市・上彬堂の上野彬郎さんの9点、計32点を展示している。
木目金は、主に銅、銀、赤銅の3種類の金属を何層にも重ね、たたいて打ち延ばす鎚起(ついき)の手法で花瓶などに作り上げる。それを削ることで文字通り「木目」のような文様を浮かび上がらせる。金属加工技術でも最も難易度の高い技術のひとつだ。
作品の大半は花瓶で、玉川宣夫さんの作品は香炉や湯沸かしもある。あわせて製造工程の途中の作品展示しており、3種類の金属を11層にした木目金の塊は厚さが数センチもあり、これがたたくことで展示されているような作品になるとは、にわかには信じがたい。
さらに木目金の製造工程の動画を初公開。玉川さんが昨年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、燕市名誉市民となったことから、燕市は玉川さんの作品58点を収録した写真集『玉川宣夫作品集』(2,000円・A4変形80ページ)をことし11月に発刊した。
そのための取材とあわせて玉川さんの製作工程をビデオで撮影したものを約15分に編集し、会場のモニターでエンドレスで上映している。玉川さんの仕事のようす収録した資料はほとんどなく、これを見るだけでも価値のある作品展。また、あわせて『玉川宣夫作品集』を求めるにも絶好の機会となっている。
会期は12月2日から23日まで(休館日5日、12日、19日)、会場は燕市産業史料館。また、作品解説会を4日(日)玉川宣夫さん、11日(日)上野彬郎さん、18日(日)須佐真さん、23日(金)玉川達士さんがそれぞれ午後2時から行う。入館料はおとな300円、子ども100円、土、日曜と祝日は市内の小中学生のその付き添いの保護者1人は無料。