住宅建築・リフォーム業の(株)ハンズワタベ=渡部政雄社長・本社長岡市=は、東日本大震災後の節電や省エネなどで関心が高まっている自然エネルギー「地中熱」を利用した冷暖房システムを導入したモデルハウスを燕市内に建築している。
導入したのは、地中熱利用を柱に建物の基礎空調を行う計画換気システムで、山口県の(株)ジオパワーシステムが開発した「ジオパワーシステム」。環境大臣賞やエコプロダクツ賞、グッドデザイン賞などを受賞し、愛知万博日本政府館はじめ工場への導入も進んでいる。
地下5メートルの地中熱は1年を通して15度から18度の温度に保たれている。その深さまで「ジオパイプ」という専用パイプを埋めて地中へ外気を送り込み、地中熱で温度を変化させた外気を、住宅の基礎部分に敷き詰めた石に蓄熱して冬は暖かく、夏は涼しくなるという仕組みだ。
一般の冷暖房のように急激な温度調整ではなく、換気しながら建物全体の温度を年間を通して緩やかに調整する。省エネやCO2削減につながり、環境配慮の視点でも注目されている。
年間の冷暖房費50%削減のほか、CO2削減、空気の浄化機能、取り込んだ空気中に含まれる花粉、チリ、ホコリなどを90%以上の除去、冷房病対策も含めて体に優しいシステムとうたっている。
同社は2009年に、県内で初めて同システムを導入した一般住宅を建築した。震災前からの計画で、地域の顧客にさらに理解を深めてもらおうと、翌24年3月のオープンを目指して燕市秋葉町4地内に同システムを導入したモデルハウスを建築中だ。
3月の東日本大震災発生以後は、同社にも問い合わせが増えており、自然エネルギーを柱とする同システムへの関心の高まりを実感しているという。