三条市立旭小学校(涌井芳郎校長・64人)は15日、東日本大震災で三条市内に避難している人たちに、学校田で作ったコメとクリスマスカードをプレゼント。5年生児童がサンタクロースにふんした「KIDSサンタ」も登場し、一足早いクリスマスプレゼントを届けた。
同校は毎年、5年生を中心にコメ作りを行い、田植えや稲刈りは全校児童で行っている。収穫したコメは各家庭に持ち帰るなどして味わっている。
ことしは東日本大震災の発生を受け、5月の田植えののときから収穫したコメを被災した人たちに届けたいと考えていた。市と相談し三条市内に避難している人たちに贈ることを決めた。
三条市内では、福島県南相馬市を中心に今も99世帯が避難生活を送る。コメは児童が家庭に持ち帰るコメの量を半分にして2キロずつ99世帯分の約200キロをプレゼント用を確保した。さらに、1年生から6年生まで児童全員で、「元気を出してください」、「震災に負けないでください」、「わたしたちも応援しています」などのメッセージを書いたクリスマスカードを手作りした。
この日、5年生児童が届けのは三条市月岡の雇用促進住宅に入居する20世帯で、そのほか79世帯は市職員が届けた。冷たい雨の降るなか午後2時にマイクロバスで5年生全員10人が雇用促進住宅に到着。100円ショップで買った赤いサンタクロースの衣装を着て「KIDSサンタ」に変身し、2人1組で4軒ずつ回り、コメとクリスマスカードを避難している人たちに手渡した。
南相馬市小高区の松崎トシエさん(71)は、子どもたちからのプレゼントを受け取ると、「うれしいね」、「ありがとうございます」と繰り返した。小高区では学校や幼稚園の近くで食料品店を営んでいた。毎日、近くを通る子どもたちが「おばちゃん、行ってくるね!」、「おばちゃん、ただいま」と声をかけてくれたと言い、「子どもを見るとうれしくて涙が出る」とふるさとでの生活も思い出し、「大事にするね」と心のこもったカードを見た。
双葉町の山本和明さん(53)は、自宅が福島第一原発から3.5キロで、原発事故のあと、一度も家に戻ることができない。以前は出張も多く自宅にいる時間も少なかったが、盆も正月も自宅で迎えることができない特別な年になってしまった。KIDSサンタに「ここのアパートで大変なこととかないですか?」と心配され、「うれしいことです」と話した。
全世帯へのプレゼントを届け終わったあと、集会所となる一室で子どもたちと避難している人14人ほどが参加して閉会式。児童は「被災された方々に届けるんだと思って田植えや稲刈りをしました」、「笑顔で受け取ってくださり、わたしもうれしかったです」、「大変だな、つらいかもしれないなあと思ったりしました。ですが、元気をだしてもらいたいです」と感想を話し、それを聞いて涙を浮かべる人もいた。
また、お礼のメッセージでは、「クリスマスはこのお米を食べて頑張ろうと思います」、「おかげでわたしたちにもクリスマスがやってきました」と、思いがけない子どもサンタからのクリスマスプレゼントを喜んだ。