日本舞踊、吾妻流名取の吾妻春登茂さん=三条市下須頃=が燕市・白山町コミュニティーセンターで行っている出げいこの教え子の会「春登茂会」が23日、グループホーム仲町=燕市白山町1=を慰問し、併設の地域交流スペース「つばめの茶の間仲町」で春登茂さんに学ぶ地元の小学生が踊りを披露し、同ホーム利用者らは目を細めっぱなしだった。
出演したのは、燕西小学校の6人と燕東小学校の1人の2年生から6年生までの女の子7人。2年生3人で長唄小曲『奴凧』、3年生と5年生の2人で童謡『砂山』、4年生と6年生の2人で長唄『越後獅子』を披露した。
会場の交流スペースは10月1日にオープンした地域の人など誰もが自由に利用できる文字通りの「茶の間」。平日の午前9時から午後5時まで職員が就いているが、それ以外の日も開放。火曜だけは市の高齢者交流ホーム事業を行っている。
この日は同ホームの入所者18人のほか、地域のお年寄りや子どもたちの保護者など約40人が見学。けいこ着を踊る子どもたちの姿に「かわいーねー」を連発し、「上手にできたいね」とほめていた。
なかでも驚かせたのが、両手でさらしを振って踊る『越後獅子』。背丈の2倍もある長いさらしを床につかないように振って踊る芸に、見学のお年寄りたちは「ごーぎなんだねー!(すごいんだね)」と自然に拍手がわいていた。
演目はこれで終わる予定だったが、ここでサプライズ。近くの木場小路万灯組の若連中5人が訪れ、お玉さんの踊りを披露した。燕・戸隠神社の春祭りの呼び物といえば、子どもたちによる万灯の踊り。木場小路万灯組はその踊り子を「お玉さん」と呼んで春祭りで踊りを奉納し、門付けして回っている。
春登茂さんはその踊りの指導も10年以上、続けており、この日の出演者のうち2人が「お玉さん」であることから急きょ、披露することに。若連中は笛と拍子木をはやしに「伊勢音頭」を歌い、教え子2人と会場にいた万灯で「ひょっとこ」を演じる男の子も扇子を振った。
5月の春祭りからまったく練習していないので7カ月のブランクがあり、季節外れの「お玉さん」。しかし、体にしみついた踊りを忘れることはなく、「よーいとな」という合いの手もきっちり合わせて余裕の踊りを見せた。最後に同ホーム職員がふんしたトナカイがほうびに子どもたちにクリスマスプレゼントを手渡した。
春登茂さんは「よくできました。合間に拍手ももらってやりがいがあったと思いますよ」と教え子のできに大満足でほめていた。同ホームに併設のつばめ福祉会ボランティアセンターに勤務する松井講学地域活動支援室長は、最初は見学をこばんでいたホーム利用者の男性が結局、最後まで見学し、子どもたちに大きな拍手を送っていたようすに「子どもさんだと反応が違うんですよね」と喜び、ほかの福祉施設への慰問も期待していた。