鈴木力燕市長は26日、ことし最後の定例記者会見を行い、県央地域で初めて公共施設へのESCO事業を導入するのをはじめ4項目を発表した。
ESCO事業は「Energy Service Company事業」の略で、水道光熱費を削減し、その実績に見合う対価をサービスとして支払うもの。ESCO事業者は、事業所負担で省エネ改修を行い、それによって削減できた光熱水費の範囲内をサービス料として受け取る。
市にとっては省エネに必要な設備投資の費用や改修費用といったイニシャルコストが不要になる。15年以内としている事業実施期間中は光熱水費に加えてサービス料を支出するので経費削減効果は小さいが、事業実施後は回収設備の所有権が市に移り、光熱費の削減分すべてが市のメリットになる。
導入予定施設は中央公民館、文化会館、勤労青少年ホームを併設する燕市総合文化センターで、公民館と文化会館の空調設備、建機設備、給湯設備などの改修、さらに勤労青少年ホームを含む照明のLED化などを予定している。
今後のスケジュールは、来年1月4日からESCO事業者を公募し、2月15日から28日まで提案書を受け付け、3月上旬にESCO事業者を選定。平成24年度に契約を締結、施設の省エネ改修を行い、25年度にESCOサービスを開始する。
公共施設へのESCO事業導入は新潟市と上越市が行っており、4月からは県も行うが、県央地域では燕市が初めて。鈴木市長は、燕市総合文化センターは鉄骨鉄筋造で延べ床面6,679平方メートル。老朽化しており、「かなりの削減率が果たせる施設ではないかとまずこの施設を選んだ」と話した。
事業者の参加要件はとくに設けず、水道光熱費の削減率は上越市が32、3%の提案を採用したことから、鈴木市長は会見でパネルでも示した30%ていどの削減を見込む。
ESCO事業の特徴としては、新たな財政負担を必要としない省エネルギー促進策、省エネルギー効果をESCO事業者が保証、ESCO事業による包括的サービスの提供、省エネルギー効果の徹底検証をあげた。
ほかに来年1月の「彩の国ビジネスアリーナ2012」への出展、地場産業シリーズ(2)「彫金展」の開催、平成23年度燕市職員採用試験実施結果について発表した。
「彩の国ビジネスアリーナ2012」は来年1月25、26の2日間、さいたまスーパーアリーナで開かれる国内最大級の展示会。そこに市のブースを出展し、単独では出展が難しい従業員12人以下の市内小規模事業者7社から参画してもらおうという試み。市では昨年に続いて2回目の出展で、これまで出展経験のない(株)新武、(株)セキヤ、土田工業(株)、(株)羽賀研工業、(有)広一化学工業、(有)船山理研工業所、山崎研磨工業の7社をセレクトした。
彫金展は来年1月13日から29日まで燕市産業史料館で開き、地元洋食器産業の金型生産に欠かせない金型彫金技術の世界を展示物や作品解説会で知る展覧会とする。
平成23年度燕市職員採用試験実施結果では、大卒の一般行政職12人、土木職1人、資格免許職で保育士・幼稚園教諭6人、保育士2人、民間企業党職務経験者で土木職2人の23人の採用を内定した。大卒の一般行政職の採用予定を6人ていどとしていたところ、2倍の12人を採用することについて鈴木市長は、試験を予定したときより「自己都合退職が増加した影響」とした。
求める人材を問われて、「柔軟な発想で前向きにいろんなことに取り組む」ことと「人とのコミュニケーション、組織なかでみんなと協調しながらやっていくという人格ももちあわせた人間」が増えることに期待した。
予算編成の見通しに関連して「ようやく国の姿が見えて交付税が心配してたよりは確保される見込みになりましたので、若干、税収が上がっているような数値もありますので、引き続き、産業の振興とか、未来の燕市を担う子どもの育成みたいなことを中心に新年度予算編成に向けていきたい」とした。
「ことしは長期計画の工期計画を策定中」で、計画実現の視点に立って「新規事業も考えるように各部署には指示」してあり、「年内は企画財政部長査定までいってますので、年明けの1月中旬以降にわたしの査定で、1月いっぱいに固める」。
また、橋下徹大阪市長の手法について問われて、「そんなに気持ちのうえでは変わらないと思う」とする一方、「なんでもかんでも破壊すればいいっていうものでもないんだろうと思ってます」と否定的な考えも示しながらも、国民が日本の閉塞感、今の政府に対する不満やもどかしさを感じてるのも事実で、「ぜひ、橋下さんのような元気な方が先頭に立っていろんな改革、先鞭をつけていただくというのは、同じ市長としては歓迎したい」とエールを送った。